本と映像の森 177 野尻抱介さん『太陽の簒奪者』ハヤカワ文庫、早川書房、2005年3月30日発行~2011年3月15日4刷、318ページ、定価700円+消費税
野尻抱介さんの作品は「本と映像の森 172 「沈黙のフライバイ」」で紹介しました。今日は2つめです。
2006年11月9日に実際に起きた水星の「太陽面経過」を望遠鏡で眼視観測していた高校天文部の部員から話は始まります。
(「天文年鑑」で調べると、地球から見た水星の視直径は、4.8秒から12.0秒ですので、太陽の視直径の32分(=32×60=1920秒)ですから、水星は太陽の平均で200分の1くらいです。)
主人公は白石亜紀、女子高校生は、水星の表面から立ち上がる巨大なアンテナか塔のような物体を発見し、この現象を探るために、理学部に進学します。
この水星からの物質の流れは、何者かが水星の表面から大量の物質を空間に流していて、この物質は太陽の周りに巨大なリングをかたちづくります。
リングは地球への太陽光線を一部遮ることで地上に甚大な気象変動をもたらし、このリングを破壊するための宇宙軍に亜紀は志願します。
☆
物語は、この亜紀が一貫した語り手・主人公となることで、亜紀の成長物語でもあるのが魅力です。
地球人と異星人の出会いはできるのか?異星人が地球人の呼びかけに、なかなか反応しない、不思議な「接触物語」を著者は描き挙げました。
コンタクトテーマの傑作でしょうね。一押しです。貸してくれた娘のIさんに感謝です。
野尻抱介さんの作品は「本と映像の森 172 「沈黙のフライバイ」」で紹介しました。今日は2つめです。
2006年11月9日に実際に起きた水星の「太陽面経過」を望遠鏡で眼視観測していた高校天文部の部員から話は始まります。
(「天文年鑑」で調べると、地球から見た水星の視直径は、4.8秒から12.0秒ですので、太陽の視直径の32分(=32×60=1920秒)ですから、水星は太陽の平均で200分の1くらいです。)
主人公は白石亜紀、女子高校生は、水星の表面から立ち上がる巨大なアンテナか塔のような物体を発見し、この現象を探るために、理学部に進学します。
この水星からの物質の流れは、何者かが水星の表面から大量の物質を空間に流していて、この物質は太陽の周りに巨大なリングをかたちづくります。
リングは地球への太陽光線を一部遮ることで地上に甚大な気象変動をもたらし、このリングを破壊するための宇宙軍に亜紀は志願します。
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物語は、この亜紀が一貫した語り手・主人公となることで、亜紀の成長物語でもあるのが魅力です。
地球人と異星人の出会いはできるのか?異星人が地球人の呼びかけに、なかなか反応しない、不思議な「接触物語」を著者は描き挙げました。
コンタクトテーマの傑作でしょうね。一押しです。貸してくれた娘のIさんに感謝です。