雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森25 山之内重美さんCD「青いプラトーク」17曲

2010年04月01日 05時14分56秒 | 本と映像の森
本と映像の森25 山之内重美さんCD「青いプラトーク」ほか17曲、ポリドール、DCI-15375、税込み定価2867円

 「本と映像の森23」で紹介した本『黒い瞳から百万本のバラまで』の著者、山之内重美さんが自分で歌ったCDです。
 雨宮のおすすめロシア歌曲集です。

 ユニークなのは、すべての曲で、ロシア語の原語と日本語の訳詞を両方を必ず歌っていることです。
 こういう歌い方もあるのかと、感覚的に驚きました。
 それに、ロシア語の歌の感覚と、日本語での内容が両方わかって、いいですね。
 たとえばビートルズの「イエスタデイ」を英語で歌って、そのあと日本語訳詞でもう一度歌うということです。

 曲は、以下の17曲です。

 青いプラトーク、リンゴの花咲く頃、誰が知ろうか、リラの花、君知りて、スリコ、つる、道、小さなぐみの木、白樺は野に立てり、赤いサラファン、カチューシャ、ペトルスとマルーシャ、黒い瞳の、バイカル湖のほとり、私を責めないで、コサックの子守歌。
 
 アルバムの解説に「ロシアの恋歌を歌う」「愛の喜びと哀しみの様々な局面を歌っている」とあるように「愛」「恋」がテーマです。

 さらに、戦争の中での悲しい恋が描かれます。
 青いプラトーク、スリコ、道、ぞして「鶴(つる)」。

 この山之内さんの歌うアルバムで一番衝撃的だったのは「つる」です。

 作詞は北コーカサスのダゲスタン共和国の詩人ガムザートフさんが、1965年に来日し広島の原爆資料館でのショックを、自分の原語のアヴァール語で詩にしました。
 この詩がロシア語に訳され、売れっ子作曲家のフレンケリが曲にしたのが1969年でした。

 「見上げる夕暮れの空に 白い鶴の群れ
  あれは 遙かな 戦さの地に 倒れ 帰らぬ あなた」

 戦場で死んだ恋人を慕う少女の歌です。
 少女は、いつか、あなたと一緒に飛びますと、よびかけます。

 「空を行く 渡り鳥とともに 私も 
  いつか飛び立つだろう この世の命終えて 
  ふるさとの空に抱かれ 翼ひろげて 飛ぶよ」

 とっても、とっても、切ない歌です。

 山之内さんのバージョンでは、岸田今日子さんが書いたセリフが入っていて、雨宮は、これを聞くと、いちおう男性として、いつも泣かずにはいられません。
 ぼくと妻のN子さんの30年前の若かった時代を思い出して。
 雨宮とN子さんは「平和」な戦後の日本を苦労していっしょに生きてきましたが、それがもし、断ち切られていたら、と思うとすごく苦しいです。

 鳥が「生と死」の転換点になる、ということは宮沢賢治さんや、賢治さんの「銀河鉄道の夜」の死者の旅に関連して書きました。

 「つる」の少女の立場でいうと、「あなたが死んだ時に,私も死にたかった」「どうして私だけが生きていくの?」という感覚でしょうか。

 
 
 

 
 
 
 
 

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