新・本と映像の森 330 萩尾望都『ポーの一族 ユニコーン』小学館、2019年 20200508
萩尾望都『ポーの一族 ユニコーン』<フラワーコミックススペシャル>、小学館、2019年7月15日、191ページ、定価本体680円
傑作「吸血鬼(パンパネラ)」の最終作「エディス」から40年後、ファルカはミュンヘンでエドガーと再会する。
『ポーの一族 春の夢』で第二次大戦下のイギリスで新たな人物ファルカとブランカが新たに登場したが、この『ユニコーン』では「バリー」「ダイモン」「ミューズ」と様々に自称する1人の若い(?)男性パンパネラが登場する。
「バリー」「ダイモン」「ミューズ」は「ポーの村」の地下に眠る兄のため、大老ポーにの復讐を誓って生きている。
エドガーは「エディス」事件(『ポーの一族⑤』)でアランと焼け死にかけるが蘇生し、ミュンヘンへはスーツケースに入れたアランの焼けた「塊」を持って来る。
エドガーは言う「無垢なものが欲しい」
その理由をエドガーは『ポーの一族 春の夢』p176~177で語っているので直接読んで欲しい。
エドガーは生きているためにもアランを必要としているのだ。エドガーは「アランを復活できる」というバリーと同盟を結ぶ……(第3巻へ続く)。
☆
もうひとつ、ミュンヘンの喫茶店で再会したファルカとエドガーの対話。
エドガー「さわらないで……まだ本調子じゃないんだ」
ファルカ「私に触れるな…キリストが復活した時、マグダラのマリアにそう言ってたんだよな?」
エドガー「神の子と悪魔をごっちゃにするな、ファルカ」
ぼくの手元にある岩波文庫『福音書』のp357「ヨハネ福音書」「20・11~18」にこうある。
「イエスが「マリヤ!」と言われる。マリヤが振り向いて彼に、「先生!」と言う。そしてイエスに抱きつこうとした。イエスが言われる。「わたしにすがりつくな。まだ父上の所に上っていないのだから。」
この解釈ではイエス・キリストはパンパネラ族だったことになる。そして『ポーの一族 ユニコーン』のp100~102で描かれたパンパネラ・ルチオ(光)一族とバチカンの長年の秘密連絡には「最後の審判」にかかわる大陰謀があることになる。
そうなるかどうかは、アランの運命も含めて第3巻以後を早く読みたいです。