新・本と映像の森 313 劉慈欣『三体』早川書房、2019年
7月15日初版~7月22日8版、447ページ、定価本体1900円。
いま話題の中国SFだそうだ。ただしボクは今まで「中国SF」なるものを1冊とも、1編とも読んだことはない。これは新聞の日曜の評論で知った。
小説は中国文革のとき1967年、理論物理学者の娘から物語は始まる。娘・葉文潔(イエ・ウェンジエ)が都会を追放され、中国西部の「紅岩基地」に所属するようになる。
第2部「三体」では、それから40数年後、北京の科学者たち。主人公たちの中心はナノマテリアル開発者・汪淼(ワン・ミャオ)かな。
主人公の科学者たちは「三体」というゲームにかかわり、その3つの恒星での歴史にかかわるゲームが架空のものではなく何か真実があることに気づき始める。
その「三体ゲーム」をめぐって「三体協会」は「降臨派」と「救済派」に分裂したりする。「三体ゲーム」自体がおもしろいし、小説内小説のような構成なのもおもしろい。
葉文潔は紅岩基地で異星文明との接触に成功したのか?その異星文明は「3つの太陽をもつ惑星系」なのか?実際のファーストコンタクトは、これからあるのか。
これから人類は破滅するのか?三体人は破滅するのか?
SFとして成功している。きわめつけにおもしろいと思う。
3巻構成の第1巻。来年は第2巻が出るという。早く読みたいな。