四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

芭蕉翁の俳文

2022-02-07 19:07:33 | 俳句

 翁の俳句(発句(ほっく))は約千句しかありません。一方、老境から俳句に励まれた与謝蕪村でも約3千句、小林一茶は2万句前後が残されました。

翁が主として活躍されたのは「連句の席」です。今の句会のような個人単独の創作ではありませんでした。

同座する複数の作者による共同創作の詩で、一巻全体の詩づくりを目的とする集団の文芸です。

そして何番目には桜を、何句目には恋を詠むといったルールがあります。翁はメンバーの連句が付き過ぎぬよう、全体の構成取りまとめを指導されました。したがって発句(連句の最初に詠う)の役ばかりではなかったのです。

 残された約千の俳句は時代を拓く群を抜く出来栄えですが、「俳文」がまた名文揃いです。貧乏を楽しむ品ある友人たちとの細やかな情が滲んでおります。侘び寂びを愛した仲間たちを知れば、翁の新しい芸術の創造に腸(はらわた)を絞られた志に敬服します。

 『ところどころ見めぐりて、洛に暫く旅寝せしほど、みのの国よりたびたび消息あつて、桑門己百(きはく)のぬしみちしるべせむとて、とぶらひ来はべりて、

しるべして見せばやみのの田植歌 己百

笠あらためむ不破のさみだれ   ばせを

  その草庵に日ごろありて

やどりせむあかざの杖になる日まで』

己百の家の心遣いを褒めてもっと長居したいと。あかざが夏の季語です。私は「あかざ俳句会」のメンバーです。           以 上

   

 


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