祝KA八周年

　頭が少し働くようになったと思えました。日本からラスベガスへ戻り、昨日までは、ショーに戻れるのか不安がありました。ここでの日常と違う、もっと生活に密着した現実的な日常を日本で過ごしていたから、ある意味非現実的な世界に戻るのが怖くなったのかと思ったりしていました。でも、今朝は頭が働くようになり、いろいろなことを手順良くこなしているうちに、不安もなくなっていきました。
　休暇明けは何時ものことですが、休暇中のことをいろいろな人と話すので、時間がいくらあっても足りない感じです。五時から週頭のミーティング、さらに今日はKAの八周年を祝い、みなでこのために用意した特別なグラスで乾杯をしました。KAロゴ入りの大きなクッキーも頂きました。それにしても、午後六時という時間に行うとは。
　　　　　　　　　　
　私は、不安が消えたことで、安心感がありました。身体も良く動くようになり、気持ち良く舞台に立っていました。久しぶりの舞台は、いろいろなことを気付かせてくれて、とても貴重でした。アーチャーズデンでもらうはずのフルートが、アーティストと共に舞台から落ちていってしまうハプニングもありましたが、舞台裏で落ち着いてプロップスの方と話すことが出来ました。
　フルートを無事手にし、影絵に出て行き、久しぶりの影絵を楽しんでいましたが、最後に走り去る時に、休暇前に痛めたところと同じところを痛めました。身体が良く動き、元気に走ったのがいけなかったようです。そこからすっかり落ち込んだ顔。これからフルートを回すというところで、こんなことになってしまいました。そして、六日勤務のまだ一日目なのに。前回より考える時間があったのは、良かったことです。前回より軽めで済んだのも良かったことです。また、今日は代役も居るので、いざという時は代わってもらえます。
　客席には、お客様も迎えていたので、思い切り良く踊りたかったのですが、脚をかばって演技をすることになりました。
　産休から戻ったマリレンは、客席からショーを観ていました。
「八年経った今でも、こうやってお客様が喜んで下さって、嬉しいわね。そしてあなたのところ、目に涙が溜まったわ。」
　今日はドレスリハーサルで、一回のショーだけで良かったです。きちんと手入れをして、明日は良い状態になりますように。そして、走る時は、しばらく気を付けるようにします。
　帰り支度をしていると、両親から電話。様子が聞けて良かったです。
　その途中で、メッセージが入りました。憧れのロスくんからでした。ドレスリハーサルを観ていたとのこと。演技に引き込まれたというのは、脚が動かない分を補うように出てきたものかもしれません。憧れの人に、数えきれないほどのブラボーを頂け、ほっとすると共に嬉しくなりました。
　ようやく支度を終え、劇場を出る時に、
「あなた、あの…。」
　頭の上で手をぐるぐる回すその女性は、
「バトンをした人？」
　シャナのお客様だったようです。とても喜んで下さいました。そして、改めて、万全の状態で舞台に立ちたいと思いました。
　夜は、どうしてもお寿司が食べたいと言う人に誘われて、居酒屋へ。私はすっかり遅れてしまったので、電話を入れましたが、待っていてくれました。ステージマネイジメントのみなさんと楽しいひと時を過ごしました。