のんのん太陽の下で

初めての一人暮らしが「住民がいるんだ・・・」と思ったラスベガス。
初めての会社勤めが「夢を売る」ショービジネス。

戌年の終わりに

2006-12-31 | KA
 通常休みの日曜日、でも今日は人の集まるニューイヤーズイヴなので仕事です。そして今日はジュリが最後の日…
 ジュリのことを考えながら何ヶ所かお店を回り花を集めました。彼女との色とりどりの思い出を色とりどりのバラに表現して花束を作ることにしました。その思い出のように素敵な花束が出来上がりました。
 花束をジュリの机にカードを添えて置きました。
 メイクがほぼ完成する頃ジュリが来ました。ロッカーをはさみ背中合わせにある彼女の机の上は、プレゼントでいっぱいになっている様子が分かりました。私は静かにジュリの声を聞きながらメイクを続けていました。少しの静けさがあってからジュリが私のところへ来ました。私たちは何も言わずに抱き合いました。強く抱き合いながらついにはこらえきれずに涙を流しました。
「メイク、やり直さないとね…。」
 一回目は日本のお客様もいらしてくださっていたのでその方々のために踊ろうと、ジュリとの舞台を楽しみながら普通に過ごすようにしました。日本のお客様もとても喜んでくださってそこにジュリも来てくれて紹介もできました。
 二回目は彼女と過ごした日々を思い出しながら踊りました。ジュリの豊かな表情がたくさん見えました。カゴに入り涙が滲んできます。
 上に上がるとジュリがいました。抱き合ってまた泣きました。
 エピローグで待機するときジュリは隣に来ます。彼女を待ちながらいよいよ最後だと心の準備をしていました。そこに来たジュリは「これで最後なのは寂しいけど、私の心はとても満たされているのを感じるの。」と優しく言いました。それを聞いて私の心も落ち着いて、しっかりとジュリの乳母役最後の姿を見つめることができました。
 戌年が終わるとき戌年の彼女は去ります。

 さあ、急いで着替えて恒例の花火です。ラスベガスでの新年を迎える花火は3回目。シャンペン片手に(私はなぜか味噌汁でしたが…)みなで駐車場の屋上に集まりました。
 Happy New Year!

プリンス

2006-12-30 | 日記
 「シルクのIDでプリンスのコンサートに行ける。」と急に言われました。そしてドレスコードは無いと。それでは行ってみようかと思っていたところに、昨日普通の服装をしていった人が、そうは言われながらも中に入れてもらえなかったことを聞きました。今日は普通にセーターを着ていたので、帰って着替えて出掛け直そうかと考えていると、詳しいことが書いてあるメールを持っている友人がそれを印刷してくれました。一番初めのメールを読むに向こうが“クラブウエア”で来るようにリクエストしたように受け取れます。どんな服装なのかはっきりは分かりませんが想像してみて、考えてみて、帰ったとしてもそれに近そうな服は家にありません。そのまま帰りがけに行き、だめだったらそのときはそのとき、とりあえず行ってみることにしました。
 リオホテルに着いて駐輪場を探していると、KAのスタッフに会いました。コンサートの場所を聞くと丁寧に教えてくれて「でも中はいっぱいで、僕はチケット持っているのに入れなかった。チケットもらうのにも今は長い列ができているよ。」と。「それではもう帰ろうか。」と自転車の向きを変え表玄関のほうに向かい始めました。でもよく考えて「いやここまで来たことだしどんな状態かだけでも見ていこう。」と中に行ってみることにしました。
 先程とは反対の駐車場に自転車をとめ、カジノに向かうとまた友人に会いました。彼は私を見たとたんに“いっぱい”というジェスチャーをし、「中はいっぱいで係員の人がみんなのことを帰らせ始めたよ。そんなに来ると思っていなかったみたいで謝っていたよ。」行っても絶対に無駄、というような雰囲気の彼を見て「今日は行くなということかな。」と思い、彼と一緒に駐車場に戻ることにしました。
 プリンスのコンサートは空振りで満たされるものがなかったので、せめて空のお腹だけは急いで満たそうとおそばを茹でました。年越しそばには少し早いけれど。一人前より多く茹でたはずなのに、今日のお腹は満たされません。お正月用に取っておいた貴重なお餅に手を出してしまいました。お餅を3つも食べたのにまだ物足りなくて、栗ぜんざいにまたまたお餅を入れて頂いてしまいました。夜中の1時半。時計を見てその後は我慢しました。

悪役の情

2006-12-29 | KA
 乳母役のジュリは私が踊る部分をほぼ毎日のようにモニターで観ていてくれるので、ちょっとした違いも分かります。何かが起きたとき、彼女はいつもそれを楽しんで話してくれます。
 彼女が今日は客席側で舞台を観ました。そして私は彼女のために舞台に立ちました。
 彼女は女優、そして感受性の豊かな女性です。モニターでは観えない細かい心の動きまで今日は観えたようでした。特に私が踊っているときに後ろにいるカウンセラーの息子役の心の動き、「きっと一回観ただけの人には見えないだろうけど…」と言いながら「彼は悪者だから本来自分にはないものが、その時、目の前で繰り広げられている“恋”を通してかすかに芽生えてくるのが見えて心に響いたのよ。私はあなたたちのことを誇りに思うわ。ハハハハハ…。」と胸をたたきながら言い放っていきました。
 私が踊り終わって更衣室に戻ったところ、ということはまだショーの途中だったのに、「これを観たから大満足!」という風に客席を離れてきて、まだホカホカの思いを伝えてくれました。
 大好きなジュリ、彼女がここからいなくなることは考えないように、普通に普通に過ごすようにしています。

反面教師

2006-12-28 | KA
 代役が最後の舞台の日。いろいろありましたが、感謝することもあります。私はカードを書いて花束を持って出掛けました。何事もなく今日一日が終わることを願って…
 花束とカードを彼女の更衣室に届けて、自分の更衣室へ入った途端“何事もなく”という願いは壊されました。こんなに人の気持ちをがっかりさせられるものなのですね…
 
 最後の最後まで…

 最後の彼女のソロの部分は生で観ました。拍手を送ろうと思って。無事に“バトントワリング”が終わることを願ってじっと見つめ、無事に終わりました。そして拍手をすることが私にできる精一杯のことでした。

 今日はゆっくり心をを休ませて明日を迎えたいと思います。

繰り返されるカツラの問題

2006-12-27 | KA
 ティッシュをもらいに衣装部屋へ行ったとき、呼び止められました。「ちょっと話ができる?」と、衣装部屋のトップ。それがちょっとではなかったのは言うまでもありません。
 一ヶ月以上前に新しいカツラがシルクの本部モントリオールから来て、試着がありました。またまた重いカツラ…
 カツラのことに関してはクリエイションのときに問題がありました。「重いので軽くして欲しい。」と言ってもなかなか軽くしてもらえず「あなたの首のトレーニングが足りない。」とまで言われました。そしてついには首が動かなくなりました。すると「首を動かさないで演技してくれればいいから。」と。結局カツラが軽くなるのに4,5ヶ月掛かりました。
 試着のとき、新しいカツラに重さを感じたのでそれを伝えました。それでもそれは軽くなることなく、ショーで少しずつ使われるようになりました。私は何か伝えなければいけないと思ったので、使った次の日に必ず「首が痛い。」と言うようにしました。一週間に一回ほどしか使わないので、今までのカツラをそのほかの日に着けていれば2,3日でそれは治ります。それを繰り返していました。
 ところがこの休み明け、回復することなく首が痛んでいるということと、今週は週6日ショーがあるので、「今週は新しいカツラを着けたくない。」とお願いすると思ったよりも簡単にカツラ担当のケリーは受け入れてくれました。 
 それで昨日まるく治まっていたのに、今日は衣裳部屋のトップから話がありました。
「首が痛いと聞いたからフィジオに話したけど君はフィジオに行っていないそうだね。」
 そこから始まり、こちらが何を言っても勢いよく言い返してきます。
「みんなはじめはカツラが重いというんだよ。でもそのうちに慣れる。」
「ちょ、ちょっと待ってください。みなはカツラをつけてほとんど立っているだけですよね。私は頭を動かして踊るのですけど。」
 そんなことお構いなしです。
「今のカツラは角になっている部分がきつく詰めた状態なので、髪を少し切って、短くなった分、今使っている古いカツラのように、そこをふんわりと作ることはできないのですか。」
 と言うと、
「髪を切ってしまうと長くそのカツラを使えないからできない。」
 と言います。
「じゃあ、私は重いカツラを着け首を痛め、また重いカツラを着け首を痛め、髪が少なくなっていくのを首を痛めながら待たないといけないわけですね。」
 途中から私は悲しくなり、涙が出てきました。二年前のことを考えて問題を大きくしたくないから我慢して使っていたのに、結局それがいけなかったようです。首のトレーニングはさらに首を痛める可能性があります。二年前は実際そうでした。それでも「トレーニングをしたけれどだめだった。」というレポートを出さないと、モントリオールに報告できないので、それをしないといけないことになりました。そして「だめだったから。」と言ってカツラをモントリオールに返すそうです。100万円もするそのカツラ、全く使わずに返すぐらいなら髪を切って短く軽くして使ったほうが余程良いというのは素人の考えのようです。
 
 コーチのエイドリアンは途中から衣装部屋になぜか来て、私たちの様子を見て出て行こうとするところを私が引きとめたので、経緯をほとんど聴いていました。「大きな会社だから何でも時間が掛かるのは僕も疲れるけど、僕は言わないといけないと思って言うようにしているんだ。問題になることを恐れないで“早く”言ったほうがいいよ。」などといいながら衣装部屋の外で慰めてくれました。
 ちょっとがちょっと以上に掛かり、目がはれてしまったので、遅れてまで英語のクラスに行きたくありませんでした。でも、がっかりしたままショーを迎えたくはありませんでしたし、短い時間で気持ちを変えるにはいいきっかけかもしれないと思い、残り30分の英語のクラスに向かいました。
 階段を上がるとフィジオのルックに会いました。昨日首のことを話しているので「どう?」と訊かれ、たった今起きたことを話しました。クリエイションのとき、他のフィジオのトレーニングメニューが役立たなかったことも言いました。彼はじっと考えて「大丈夫、何とかなるようにするから。」と言ってくれました。
 英語の後ケリーに会い、今日のことを話しました。もちろん彼女はそのことを知っていました。そして彼のように興奮することなくいろいろと話してくれました。彼女の話が良く分かりここでも心を整えることができました。

 お蔭でショーは無事に終わりました。

 着替えているとバイグーが来ました。
「『雨が降っている。』ってシャルダンから電話があったんだ。彼女が『ノリコはどうやって帰るのだろう。引き返して来る。』って言うから、僕はまだMGMにいるから僕が送っていくと言ったよ。」
 どこまでも親切なこの二人。そして今日もたくさんの方々のお蔭で一日を終えることができました。

かなちゃん

2006-12-26 | 日記
 私が教えていた頃、かなちゃんはまだ幼児。レッスンに来たのか話に来たのか、質問をつくっては「先生、先生!」と話しかけてきました。小さいのに話し方が大人びていて微笑ましかったのを覚えています。
 9月に帰国して会った時、かなちゃんは3年生になっていて、おしゃべりせずにしっかり練習していました。バトンがお母様方のところに転がっていってしまうと「すみません!」と走ってバトンを取りに行き、それを見ながら3年という年月を感じました。
 「先生帰ってくるなら言ってくれればよかったのに。プレゼント買っておいたのに。」と言いながらレッスンが終わるとポッキーを持ってきてくれました。「一本じゃなくていいよ。あ、これにかながサインしてあげるね。」と小袋にサインして絵を添えてくれました。別れ際には「先生これからもがんばってね。」と励ましてくれて…
 そのかなちゃんがクリスマス会を最後にやめてしまったという連絡が入り、一瞬動きが止まりました。私が約束を守らなかったから…。彼女がバトンを回していた日々がこれからの人生に輝きを増してくれますように。そしていつでもまた戻ってきてください。

 ラスベガスにもかなちゃんがいます。“O”のスイマーかなこさん。今日は彼女が観に来てくれました。“O”を観たときの感想をたくさん聞いているので、KAはどうなんだろうと思っていましたが、とても気に入ってくれたようです。モントリオールで同じ時期にトレーニングをしていたKAの二人のアーティストとも再会でき嬉しそうでした。「また観たい!」と言う彼女。是非またいらしてください。

家族のクリスマス

2006-12-25 | 日記
 今日は町中が“お休み”なので、家でのんびりしようと思っていました。会う予定だった友人も「クリスマス疲れ。」というのでちょうど良いと思っていました。ところが別の友人からお誘いを頂き出かけることになりました。結婚後初めてのクリスマスを迎えるシャルダンは、ご主人のご両親を迎えていました。家族のクリスマスに呼んでいただいたのです。
 お母様はチキンとベイクドポテトとサラダを作り、シャルダンは餃子と野菜炒めを作り、それをおいしく頂きながらクリスマスを祝いました。
 私は自分の家にいるかのようにのんびりと過ごすことができ、昨日とはまた違った温かいクリスマスとなりました。

クリスマスイブ

2006-12-24 | 日記
 クリスマスの25日はほとんどのお店が閉まってしまいます。明日は買い物が何もできないので、必要な物を買いにアパートと買い物先を3往復しました。
 クリスマス会には3ヶ所から招待されて、全てに顔を出したかったのですが、仕事を離れた友達の家に行くことにしました。今日はバラと緑を買ってフラワーアレンジメントに挑戦。なかなかのできばえに大満足。プレゼントをするということは、自分の心を満たしてくれるということと今日も感じました。
 友達の家にはご家族とその友達が15人ほど集まっていました。私の倍ぐらいある大きなツリーはたくさんのライトと素敵なオーナメントで飾ってあり、その下にはプレゼントがたくさん置いてありました。
 私が子供の頃、サンタクロースはプレゼントを枕の上に置いてくれました。寝て起きては手を伸ばし、まだかまだかと待ったものです。でも、こちらではツリーの下に置いていくそうで、サンタさん、少し楽かなと思いました。 
 オレンジジュースとシャンペンのカクテルを頂きながら話をし、ご馳走を頂きながら楽しみ朝の4時。素敵なクリスマスイブを過ごしました。

小さなプレゼント

2006-12-23 | 日記
 クリスマスプレゼントを用意し切れず、ベラッジオに寄りました。紙袋がひとつ増え、リュックサックにショルダーバックに手提げ袋を持って自転車を漕ぎました。
 時間も早めに出勤し、プレゼントの準備。包装紙やリボンやハサミや糊やペンや…図工セットを取り出してせっせと働きました。私は車で大きいものをバンバンバンと運べないので何でも工夫が必要です。工夫しながら愛情を込めて…そういう方が好きでもあります。
 ショーの間にプレゼントの心配はしたくなかったので、どうしてもショーの準備の前にこの作業を終了させたく早く行き、無事終了しました。自分の心もお蔭で満たされて気持ちよくショーを迎えました。
 隣の更衣室のアーティストからチョコレートが届きました。私は彼女になにも用意していなかったので、一回目のショーが終わったあとに折り紙で箱を作り、そこにお菓子を詰めて二段に重ねて、色紙で作ったツリーのカードを載せて“ほんの気持ち”として持って行きました。図工セット、役に立ちます。机の上に置いておくつもりが、ちょうど彼女がどこからか戻ってきて、直接渡せました。彼女はじっくり箱を眺めながらふたを開けました。小さなプレゼントなのに興奮してとても喜んでくれました。
 さりげなく心の支えになっている友人に渡したのは、すれ違いざまに渡せるほどの小さな小さなプレゼント。これも“ほんの気持ち”。開ける前から子供のように喜んでいました。その後会った時に真剣にお礼を言われて、私のほうがビックリしてしばらくして涙がぽろぽろと…
 小さなプレゼント達が私の心に届けてくれたプレゼント。思いがけず幸せが届きました。

よう子さん

2006-12-22 | KA
 朝、よう子さんがご自身のダンスをDVDで見せてくださいました。画面に見入り涙を流しました。「『よう子はいいから。もう充分素晴らしいから。』と言われて、デレリアムでは教えてくれる人がいなかった。」と言う彼女から聞いた言葉が、思い出されました。
 その彼女が、今度は2列目で観ている…2日前とはまた違う緊張がありました。
 今日の配役は一番いい配役となり、彼女の持っている何かをここでも感じます。「私は技術でないところをつい観てしまうから、バトンはどうなんだろうって実は思っていたんですよ。」と居酒屋で話してくれたことも思い出されドキドキしました。
 
 終わってお会いしました。なぜか少し恥ずかしくお待ちしていたのですが、彼女の顔を見たらほっとできました。「今回もやはり泣いてしまいました…」
 そこを通る仲間も彼女のことを覚えていて声をかけていきます。彼女から出る何かを感じているのが分かります。
 
 預かった荷物をその場でお渡しし、彼女はトロントへ発っていきました。別れを惜しみながら、また必ず会うことを約束して。素敵な方との出会いに感謝します。