子どもたちの答案を見ていて、「あれ?」と感じる瞬間があります。「これって、ほんとに○○のん?」と。それまでと、何かが「違う」のです。一言で言うと、「空気」でしょうか。明らかに変化しているのです。もちろん、良いほうに。そのときのうれしさといったら、思わず「むむむ」と声が出るほどです。答案の向こうに見える「あなた」が、確実に成長している手応えにうなります。周り(私ですね)のアドバイスで成長するのではな . . . 本文を読む
言語でものを考えることができるのは、人間の特徴です。人間以外の生物も、ものを考えることがありますが、それは言語を通してではなくもっと感覚的な方法で行われています。
言語で考えることができるというのが、人間の創造力の源泉です。したがって、創造的に生きるためには、幅広い豊かな言語とものごとを深くとらえることのできる言語を持っている必要があります。想像力を三角形の面積のようなものと考えると、言語の幅 . . . 本文を読む
ときどき、「長文の音読が難しい」という相談を受けます。難しいのは、当然です。難しい文章でも読めるようにするための学習だからです。
ここで大人が大きく勘違いをしてしまうのが、数回ですらすら読めるようになるのが普通の学習だと思ってしまう点です。学校では、確かにそのようなスモールステップの取り組みをしています。最初は、大きい文字でひらがなだけの勉強です。それから、少しずつやさしい漢字が入り、文章が少し . . . 本文を読む
【ある哲学者の旅立ち】
もう一年になりますが、昨年の2月、哲学者の池田晶子さんが亡くなりました。私より年下の、まだ40代半ばでした。病気だったとのことですが、訃報は新聞にも載りました。池田さんは、『14歳からの哲学』の著者です。わかりにくい、とっつきにくい「哲学」という学問を、そして「考える」とはどういうことかを、わかりやすい言葉で私たちに語りかけてくれた人でした。
彼女の著書を何冊か読んでいる . . . 本文を読む
人類の歴史が大きく変わったのは、産業革命からです。工業生産は、巨大な資本を必要としました。工業生産のフロンティアは、当時無限の広がりを持っているように見えたので、資本主義もそれに応じて無限の拡大を志向しました。しかし、工業生産は次第にそのフロンティアを埋め尽くしていきます。鉄道、自動車、住宅など、大きな資本を必要とする工業生産の需要が次々に満たされていく中で、資本主義は次第に変容していきます。今、 . . . 本文を読む
今日はみなさんにちょっとした問題を出してみたいと思います。
「あなたの長所と短所を思いつくだけいくつでも書き出してください。」紙と筆記用具さえ用意すればすぐにできます。読み進める前にまずはチャレンジしてください。生徒のみなさんは自分のことについて、保護者の方はご自分のことについてはもちろんのこと、ぜひお子さんについても考えてみるとよいと思います。
さあ、結果はいかがでしたか? ほとんどの人が短 . . . 本文を読む
頭のよさとは、二次元的に足し算をするような能力ではなく、三次元的に掛け算をする能力だと述べました。足し算から掛け算に移るとき、一つのパラダイムの転換があります。簡単な計算ならば、慣れている足し算を猛スピードで行う方が早く答えにたどりつくかもしれません。しかし、問題が複雑になるにつれて、足し算のスピードアップは次第に限界近づき、掛け算の優位性がはっきりしてきます。しかし、足し算にいくら熟達しても、掛 . . . 本文を読む
抽象能力を高めるためには、難しい本を読むことが大事だと書きました。しかし、小学校の低中学年までは、難しい本を読むための土台を作る時期なので、多読によって読む力をつけて.おくことが大切だとも書きました。また、社会人になってからは、自分にとって未知の新しい分野に読書の幅を広げていくことが重要だとも書きました。
今回は、この中で、難しい本ということについてもう少しくわしく書いていきたいと思います。難し . . . 本文を読む
「知能を高めること」について、ご質問をいただきました。そのご質問に、頭のよさとはそもそも何か、頭のよいことは幸福なことなのか、という問題提起が書かれていました。そこで、今回は、この二つを中心に述べたいと思います。
まず、頭のよさとは、そもそも何かということです。
私は、勉強ができること、又は成績がいいことが、頭のいいことではないという意味で、「頭のよさ」を考えています。というのは、成績と頭のよさ . . . 本文を読む
知能を高めるのが読書だとすれば、その知能の結果が表れるの作文です。作文は、学力の集大成になるような文章力を目標とすべきです。
第一が構成力です。ある課題について、文章の構造を考えて書くというのは、高度な抽象力を必要とします。特に、複数の理由を書くとか、原因や対策を書くとか、複数の意見を総合化するとかいう形になると、書こうとする材料が頭の中ですっかり整理されていなければなりません。よく、頭のいい人 . . . 本文を読む
抽象的に考える能力とは、現象の背後にある本質を考える能力です。先日、高校生の生徒が冬休みの化学の宿題を見せてくれました。どのページもほとんど計算問題です。確かにこういう練習問題を多数やれば、計算には慣れるだろうとは思いましたが、あまり知的な勉強とは思えませんでした。
やればできる問題に取り組むのは、時間の無駄です。私がもしそういう宿題を出す立場の先生だったら、次のような宿題を出します。「この問題 . . . 本文を読む
勉強には、成績をよくするための勉強と、頭をよくするための勉強とがあります。成績をよくするための勉強とは、知識を追加する勉強です。頭をよくするための勉強とは、考える力をつける勉強です。
しかし、入学試験に限って言えば、それが高校入試であっても、大学入試であっても、○○資格試験であっても、すべて知識の勉強でカバーすることができます。なぜかと言えば、出題範囲が決まっているからです。範囲が決まっている . . . 本文を読む
小学校低中学年のころは、親が勉強をさせれば、子供の成績はよくなります。この理由は単純で、このころの勉強は表面的なものなので、与えればその分知識は増えるからです。もちろん、勉強をさせて成績をよくする方が、勉強をさせずに成績を悪くするよりもずっといいことは確かです。しかし、それ以上に大事なものは、成績をよくするのではなく、頭をよくする勉強をさせることです。
頭をよくする勉強というのは、抽象的な能力 . . . 本文を読む
年の始めに一年の目標を掲げた人も多いと思います。達成に向けて前進し、充実した日々にしてください。目標というほどはっきりしたものではありませんが、私は毎年テーマを決めています。今年のテーマは「想像力」。とくに現実から想像することを意識していきたいと思います。
友人が突然ぎっくり腰になったときのこと。何とか助けてもらいたいと痛みをこらえて、やっとの思いで病院にたどり着いたのに、簡単に「一時間待ちです . . . 本文を読む
本年1月に掲載し、ご反響のあった記事を敢えて前倒しで、今年も再掲示致します。今この時も、1分1秒を大切に頑張り続けるお子さまと保護者の方々へのささやかなエールとして…
『今日から本格的な中学受験日程の開始です。お預かりした小6生のあれこれを思い出していると、以前指導した生徒のことを思い出しました。いい機会なのでここにご紹介したいと思います。
その生徒にはとても憧れている中学がありました。彼は . . . 本文を読む