1本のわらしべ

骨肉腫と闘う子供とその家族とともに

虹を追いかけて

2008-11-25 20:31:56 | Weblog
仕事の帰り道、小雨が降ってきた。
空を見上げると虹が架かっていた。架かっていたというよりも架かり始めていた。
虹が生まれ、育っていく。その様子をじっと見ていた。
そのうち、最初に架かった虹の外側にも少し薄めの虹が架かり始めた。
こんなにくっきりと綺麗な虹を見たのは初めてだ。
この辺りは、濃尾平野の一部で山がない。虹のふもとがはっきり見える。
「もう少し走れば、虹のふもとに辿りつけるかも...」そう思って車を走らせた。
もちろん虹が単なる気象現象だとわかっている。
それでも今日の虹は「もしかしたら...」と思わせるものだった。

近づいたと思って車を止めると、虹のふもとはまだ少し遠くにある。
もう少し走って車を止める。やはり虹は同じ距離を保っている。
30分ほど走って車を降りた。
虹は白い建物の上に架かっている。
白い建物と虹が交差したところは陽炎のように色ついた空気がゆらゆら揺らめいていた。
この時点で虹は建物のこちら側にある。つまり、そこが虹のふもとなのだ。
でも、ここから少しでも近づくと虹は建物の向こう側に逃げてしまう。

やはり、虹のふもとに辿りつくことはできなかった。
そこに行けば奇跡が起きる気がした。