1本のわらしべ

骨肉腫と闘う子供とその家族とともに

あなたは何を思っていたの

2022-05-28 14:34:25 | Weblog

夜眠れないとき、あなたのことを思い出す。

いくつもの映像が一気にあふれ出て、息苦しい。

あの時、母さんは、「あなたがどう思っていたのか」なんて考える余裕はなかった。

亡くなるひと月前。

お正月の在宅から戻った次の日、病院のベッドの上で、あなたのおでこに「くぼみ」を見つけた。昨日の夜、別れた時には気付かなかったくぼみ。

日に日にやせ衰えていくあなたの顔。そのくぼみを見て、我慢していた涙がつい出てしまった。

あわてて「トイレに行ってくる」とごまかしたけど、ばれてたかな。

あの時、あなたは、何を考えていたのかな。

「先にトイレに寄って来いよ」かな。

「なに泣いてるのよ~」かな。

 


2月10日

2022-02-11 00:11:04 | Weblog

今日お花を買ったよ。

店員さんはあなたのことを覚えててくれた。

うれしいね。

 


流れ星

2021-12-14 01:40:12 | Weblog

今夜はふたご座流星群が見れる。

ちょっと寒いけど、バルコニーに出てみた。

しばらく空を見上げていると、「流れた!」

願い事は間に合わなかったけど

今夜は、夢であなたに会えますように...


今年の新顔は...

2021-12-02 00:09:31 | Weblog

これだ!

竹富島の民家の屋根にいたシーサー。

たしか「たけのこ」というそば屋さんの近くの家の屋根にいたね。

今年は、この子が仲間入り。

よろしくね。


懐かしい景色

2021-11-30 23:35:45 | Weblog

きれいな海。

部屋の中に居ながら、この海が見える。

あなたはベッドに横たわりながら、この景色を見ていた。

この景色に出会うために、大変な思いをして南の地にやってきた。

14年経っても、この景色は変わらない。

雨が降っていても、この海は美しい。

思い出をありがとう。

 


久々の「かん吉」登場

2021-11-26 10:39:05 | Weblog

あなたが名付けた「かん吉」うちに来て18年になるのかな。

まだまだ長生きしそうです。

 

3年くらい前、餌を食べなくなりました。

原因は嘴が伸びすぎたこと。獣医さんに連れて行くと頭や手足を引っ込めて石のように固まる。

「こういう臆病な子は、麻酔をかけて嘴を切るのですが危険なので、うちでは引き受けられません。」と言われた。

犬猫以外の動物を診てくれる先生を探して遥々やってきたのに..。

仕方ないので母さんは「自分で切ろう」とヤスリを買ってきた。

家にいれば安心して首を引っ込めないんだけど、さすがに体を持ち上げられると驚いて首を引っ込める。

しばらくその状態のまま待っていると、恐る恐る「もういいかい?」と頭を出してくる。

そこを素早く捕まえて、ヤスリで嘴をゴシゴシやる。いくらこすっても切れている手ごたえがない。

あきらめてかん吉を解放。「やっぱり素人では無理なのか?」

気を取り直してもう一度チャレンジ!

「切れた」

あれから三年経って嘴は伸びてきて、またヤスリのお世話にならないとダメみたい。

断嘴のために、かん吉には持ち上げて頭スリスリに慣れてもらっています。

前よりはスムーズにいくと思う。

 

明日は2年ぶりの小浜島。

あなたを思いながら3日間を過ごします。


久しぶりだね

2021-11-16 10:33:26 | Weblog

久しぶりだね、あかね。

もう書くことが尽きてしまって、それが悲しくて、このページも開くことが少なくなったわ。

今日は、人の縁(えにし)について思ったことを書くね。

母さんが膝の骨折で入院した病院は家の真ん前にある。

足場から落ちて、自力で行った開業医で、「ここの先生は膝手術の名医だから」と紹介してもらったんだけど、

「患者が多すぎて骨折の患者は受け入れていない。靭帯の手術だけ受け入れている。」と言われ更生病院という市では一番大きい病院に回された。

そこで細かい検査を受けて手術日まで決まったのに、最後のCT画像で靭帯の損傷が見つかった。

「うちでは、手術できない」と言われ、元の病院へ移ることになった。

手術が詰まっていて3週間リハビリをしながら手術を待った。その3週間待ったことで、靭帯の損傷が治っていた。自然治癒?

あとで先生から聞いたんだけど、膝の高原骨折と靭帯の同時手術は、先生もやったことが無くて未知の世界だったんだって。

開いてみたら靭帯の損傷が治っていてホッとしたらしいよ。(^^:)

先生は、どんなに忙しくても必ず様子を診に来てくれた。

1年後、膝に入れたボルトを抜く手術をして治療終了。

最近、健康診断でひっかかった高脂血症の治療で開業医にかかっていたんだけど、甲状腺機能低下症を指摘され、

「大きな病院で診てもらってください。」とこの病院に紹介された。

外科と内科は診察室が向き合っていて、整形外科の診察室を通り過ぎる。

「先生の名前がないっ!」

先生は先月、開業されていた。甲状腺の異常が見つかっていなければ、先生の開業を知ることもなかった。

なんてことはないんだけど、こういう偶然って、なんかうれしいよね。


お誕生日おめでとう

2021-09-24 22:27:39 | Weblog

今日は、あなたの誕生日。

今日で29歳だね。もう想像が追い付かない。

お誕生日おめでとう!


S君のこと

2021-04-16 23:47:27 | Weblog

あなたより少し前に亡くなっていたS君。たしか、あなたより1歳年上。

野球が上手で、小学生の頃からプロのスカウトが試合を見に来ていたらしい。

あなたと同じ骨肉腫を発症して足を切断。だけど病気に勝てなかった。

悔しかっただろうね。野球選手という夢をあきらめても生きようとしたのに...。

亡くなった後、保存されていた足を体に戻して一緒に火葬されたそうです。

 

あなたも、本当は左腕を切断する予定だった。

でも手術前のMRIで他にも骨肉腫がみつかり、手術は中止になった。

その後、病院を変わり、腕を温存する治療を選んだ。

 

S君のことが頭から離れない。

 

 

 

 

 


心やさしい営業マン

2021-02-23 13:59:06 | Weblog

今日は彼の話をしましょう。

彼は営業マン。実直で朴訥、おべんちゃらの一つも言えない真面目な営業マン。

営業成績は、決して自慢できるものではなかったけれど、お客さんが困ったときには、いやな顔一つせず対応したので

頼りにしてくれる顧客も少なくなかった。

ある日、本社から「T営業所の立て直しに営業所長として転勤」の辞令があった。

T営業所に行ってみると、顧客管理・勤務体系など問題点が山積みだった。

彼は、小さなことから、手を付けていった。

改革が売り上げに反映されるまでには時間がかかったが、手ごたえはあった。

彼がT営業所に来てから2年が経とうとしていた。

また、本社から「N支店の業績が振るわないので、戻って、建て直せ」との辞令がきた。

T営業所の成績は徐々に回復しつつあったので、あと1年は残って結果を出したかった。取引先との信頼関係、営業所に勤める部下との関係もやっと築き始めたところだったが

彼はN支店に戻った。

N支店の管轄営業所は4つ。

その4営業所をまとめる仕事。

N支店には支店長がいたが、お飾りの支店長で、社長のご機嫌を取るだけの支店長は頼りにはならなかった。

会社は、全国展開の商社で創業100年以上の会社だった。

同族会社で、代々、血族で受け継がれていた。

現社長はワンマンで、周りの諫言を聞く耳を持たなかった。

会社の行く末を案じ、社長に進言した社員は、ことごとく迫害され、地方に飛ばされた。

 

N支店に戻った営業マンは4つの営業所の中心となり、改革に乗り出した、はずだった。

その日、N支店での会議には社長も同席していた。

現場の実情を知らずに的外れな指摘をする社長に対し、営業マンは、各営業所の代表として意見を述べた。

自分の意見を否定された社長は怒り狂った。他の社員は口を固く閉ざし、その提案は営業マン一人の個人的なものとなってしまった。

 

その日以来、営業マンは、「仕事のできない社員」のレッテルを貼られた。