赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

国防か反政府か、参議院選挙で国民は何を望むのか コラム(436)

2022-07-04 12:58:47 | 政治見解


コラム(436): 
国防か反政府か、参議院選挙で国民は何を望むのか


東京選挙区の面白い現象

50音表は右側のあ行から、か行、… 左側はや行、ら行と並んでいます。今回の参議院選挙東京選挙区は政党要件を満たす政党の候補者も、不思議なことに、右側のあ行の候補者がいわゆる右に分類され、左側のや行にはいわゆる左翼の候補者が並び、中ほどには中道を自称する公明党の候補者が位置しています【※1】。

【※1】(敬称略)50音表右側のあ行には、朝日健太郎(自民)、荒木千陽(ファ)、生稲晃子(自民)、海老沢由紀(維新)がいます。一方、50音表の左側のや行、ら行には文字通り左翼の山添拓(共産)、山本太郎(れいわ)、蓮舫(立民)がいて、50音表の中ほどから少し右には竹谷とし子(公明)がいます。立民のもう一人の候補は当選不可能ですから、事実上この7人に無所属の乙武洋匡が加わって6議席を争う展開となっています。

れいわ新選組、本当は既成左翼政党の敵

さて、注目すべきはれいわの山本太郎氏の動向です。鬼の顔をしている山本太郎氏本人が「やらせてくださいれいわの鬼退治」と言っていますが、その鬼とは、本当は鬼の形相をしている蓮舫さん、あるいは、赤鬼の日本共産党なのかもしれません。

なぜなら、山本太郎氏がいくら自民党政権を批判したところで、山本氏の意見に賛同するのはもともと反自民の人びと以外にはおらず、立民や共産党の支持者にしか共感を呼ばないことは明らかです。ということは、山本氏は立民や共産党の票を食いに行っているだけということになります。

実際、世の中には、日教組教育によって、自分たちが報われないのは政府が悪い、自民党政治が悪いと盲目的に信じ込んでいる人たちが一定程度存在します。論理的、あるいは知性的に政治が悪いから是正しなければならないと考えることなく、パフォーマンスで激しく政治批判をする人の激情に流されてしまう人々で、SNSなどでよく目に留まります。最初から話し合いはできないと見ていい人たちで共産党や立民に多いのが特徴です。

そのような人びとが、今回も山本氏のパフォーマンスに引っかかれば、共産も立民も票を食われることになります。要は、複数の当選人が出る選挙区では、左翼の敵は左翼であり、決して自民でないことを知っていなければならないのです。


れいわのパフォーマンスがどこまで通用するのか

さて、当の山本氏、どこまで左翼票を食いあらすのか興味津々ではありますが、今回は本人が思うほど票をとれないのではないかと思います。それは新しもの好きの一部有権者にとってれいわ新選組に新鮮さを感じなくなっているからで、一時期の「れいわ旋風」が見当たらなくなっているからです。

もともと新党ブームやユニークな経歴で話題を振りまく陣営や候補者の人気は一過性になることが多く、古くは自民党を離党してブームを巻き起こした新自由クラブ、同様に小沢氏らが立ち上げた新進党などは跡形もなく消えています。最近では、田母神俊雄氏のような型破りな人が出ても一回目は票をとっても、二回目以降は低迷します。なぜなら、物事は「収穫逓減の法則」通り、一度は通用したパターンも2回目以降同じことをしていても飽きられるからです。

実際、山本氏自身の獲得票を見ると、2013年の第23回参議院議員選挙では東京都選挙区で666,684票を獲得、4位で初当選。

2019年の第25回参議院議員通常選挙には比例区(全国)で立候補、比例区の全候補者で最多となる991,756票 の個人名票(東京都における得票数は206,774票)を得るも、山本氏以外の候補者2人が「特定枠」で優先して当選したため落選。

2021年の衆議院選では比例東京ブロックに立候補し、360,387票を獲得し当選。

山本氏の集票力、第一回目に獲得した66万票にはすでに届かなくなっており、今回のボーダーラインとみられる50万票に乗せられるか興味はつきません。


左翼政党の最大の危機は国防の見解にある

同時にれいわ新選組の思想性の影響を受けて社民党は消滅の危機にあります。「ぶれない政党」を訴えていても世の中の変化に対応できないのなら絶滅危惧種になるのは当たり前です。ロシアのウクライナ侵略を見て、左派政権のスウェーデンもフィンランドもNATO加盟を決めています。

このかたくなさ、変化対応の悪さが国民に見放されているわけです。その意味では、国民の国防増強の声に意図的に目を背ける立民、共産党も同様の危機があります。

いま、左翼各政党は有権者を物価高問題に誘導して政府批判を大々的に批判していますが、この問題、日本という国が存続し得て初めて成り立つ論議で、仮に日本がウクライナのように侵略を受けたなら、物価高どころの騒ぎではなくなります。つまり、左翼政党は日本が侵略されるという危機感がなく、非常にお気楽な現状認識をしているという証左でもあります。

このお気楽さを国民はどう判断するのか、その象徴の選挙区が定数6の東京選挙区です。最終的に都民は、国防問題に重きを置くか、それとも反政府に重きを置くか、7月10日の投開票日の動向を見守りたいと思います。仮に、冒頭のあ行の4人に、た行の人、無所属の人で当選が決まれば、左翼政党は国防上、国民の敵として認定されたことになるのですが・・・。




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