『私のエッ!?日記』(暇爺の“ボヤ記”) 

 ~平凡な日常を画像で綴る Photo diary ~

『私はマリア・カラス』

2020年01月10日 14時13分00秒 | 日記

 私は生のマリア・カラスを知りません。

 知っているのは YouTubeやTVドキュメンタリーで見聞きした不世出の歌姫ということくらいで、今回WOWOWで放送された映画『私はマリアカラス』は、これまで知らなった「歌うことを愛し、思うがままに恋する……栄光と挫折の狭間を生き抜いた永遠の歌姫の自叙伝で、一編のオペラにも匹敵するような劇的な生涯でした。

 出来るなら同じ時代を生き、生のカラスの芸術に直に触れてみたかったという、そんな想いを強くした映画でした。



 カラスが書き残した自叙伝や未公開の手紙には、ゴシップ紙の一面を飾った数々のスキャンダル=28歳年上の男性との結婚、大統領やセレブも駆け付けたローマ歌劇場の舞台を第1幕で降りたことへの激しいバッシング、カラスに“クビ”を宣告したメトロポリタン歌劇場の支配人とのバトル、ギリシャの大富豪オナシスとの大恋愛と夫との離婚、愛し合っていたはずのオナシスが、ケネディの未亡人ジャクリーンと結婚したことを新聞で知るという衝撃の顛末=の真相と、カラスの心の叫びが切々と吐露されています。
 
 まさに全編が、マリア・カラス本人の歌と言葉だけで綴られる“真実の告白”。
 頂点を極めてもなお高みを目指そうとするアーティストとしての信念と、結婚や出産などひとりの女性としての幸せの間で揺れ動く姿は胸を熱くします。さらに、どんな一流のプロにも訪れるキャリアの衰退にも、果敢に立ち向かう姿勢にも共感を呼びます。
 これまでの作品とは一線を画す、まさに本物の人間ドラマが詰まったドキュメンタリー映画でした。
 
Maria Callas & Guiseppe di Stefano Tokyo 1974

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