wowowのメトロポリタン・オペラ特集でヴェルディの歌劇『アイ一ダ』が放映されました。(2018年10月6日 ニューヨーク メトロポリタン歌劇場公演)
オペラで4時間の放送枠を取れるのはBSプレミアムとwowowくらいで、レコーダーに録画するとともに、DVDにもしっかりとバックアップしてあります。
自宅に居ながらにして世界最高峰のオペラを聴けるのは贅沢の極みで、しかも究極の壮大さを誇る舞台とアンナ・ネトレプコら豪華スターの共演で魅せる「オペラの中のオペラ」と言っても過言ではありません。
確か2005年のザルツブルク音楽祭だったと思いますが、『椿姫』のヴィレッタ役で鮮烈なデビューを果たした時、プログラムの発表時からスキャンダラスな話題も飛びかって注目を集め、小悪魔的な役作りや大胆な衣装・演技で大成功を収め、世界中で高い評価を得たのは記憶に新しいところです。
あれから十数年、体型と風貌にもすっかり貫禄が付き、圧倒的な歌唱力と卓越した演技力で今や押しも押されぬ世界のプリマドンナとしてオペラ界の最高峰に君臨するまでに上りつめました。
物語のあらすじは、エジプトとの戦いに敗れ、身分を隠したまま奴隷になっていたエチオピアの王女アイーダと当のエジプト王女アムネリスが恋する将軍ラダメスとの三角関係を軸に、戦争・民族対立・権力の壁など、現代にも当てはまるテ-マの奥深い作品です。
最大の聴きどころは、世界のプリマ、アンナ・ネトレプコと次世代のスター、アニータ・ラチヴェリシュヴィリが宿命の恋敵を演じ、現在のオペラ界の最高峰が激突する貴重な公演で、とりわけ二人による二重唱は鳥肌ものです。
本物の馬や100人規模の兵士の大群にも目を見張りますが、ヴェルディが指定した地上と地下の牢獄の二重構造のステージができるのもMETならではで、古代エジプトを舞台にしたスケール満点の壮大なドラマ仕立てとなっており、さらにヴェルディの音楽は勇壮な曲や心打つアリアだけでなく、第2幕の凱旋の場面ではバレエを取り入れるなど、随所にちりばめられた珠玉の数々を、指揮の二コラ・ルイゾッティがその魅力を余すところなく存分に引き出してくれます。