桔梗おぢのブラブラJournal

突然やる気を起こしたり、なくしたり。桔梗の花をこよなく愛する「おぢ」の見たまま、聞いたまま、感じたままの徒然草です。

利根運河を歩く(2)

2011年02月22日 11時40分40秒 | 歴史

 利根運河の〈つづき〉です。



 右岸を利根川に向かって歩いています。
 東武鉄道の橋梁をくぐると、堤の上に東京理科大学の野田キャンパスが見えます。ここには薬学部、理工学部、基礎工学部があります。



 理窓会記念林自然公園の入口。理窓会とは東京理科大学同窓会です。
 昭和五十六年、大学創立百周年を記念して造営された公園です。同窓会員と現役生のために造られた公園ですが、誰でも自由に入ることができます。5万2800平方メートルという広大な土地には、自然形態をそのまま残す蓮池、白鳥の池などがあります。

 昔からの川であれば、町や村の境となったのでしょうが、利根運河は明治のなかば、人力で開削した人工河川なので、掘るのに困難な場所は避けています。
 そのために緩く蛇行しています。昔からの村はそのまま町になり、合併して市になったので、右岸を利根川に向かって遡って行くと、市域は流山市、野田市、流山市、野田市、流山市、野田市、柏市、野田市、最後に柏市と目まぐるしく変わります。
 東京理科大学のキャンパスと自然公園は隣り合わせですが、キャンパスは野田市、自然公園は流山市です。



 理窓会記念林自然公園のカワセミの池。
 翡翠(カワセミ)は見るのがむずかしい鳥だといわれます。ここでは三十分も待てば見ることができると聞きましたが、寒い川風に吹かれながら、それだけ待つほうがよほどむずかしい。



 東武線の橋梁から約二十五分で柏大橋に着きました。
 この先、利根川まではまだ四十分以上歩かねばなりません。スタートした時間が遅かったので、最初から全部歩けるとは考えていませんでしたが、これより先は機会があれば再度訪ねることにして、しばし運河を離れて普門寺を訪ねます。

 画像は普門寺から戻ってきて、橋を渡ったあと、下流に向かって左岸を少し歩いてから撮影したもの。橋の左は野田市、右は柏市です。



 柏大橋から歩いて十分。曹洞宗普門寺に着きました。寛永元年(1624年)の開創。
 本堂前の玉砂利にはきれいに箒目がつけられていました。なんの前知識もなく訪問したので、到着するまで我が宗派のお寺だとは知りませんでした。清楚で、凛とした雰囲気のお寺だったので、きてよかったと安堵しました。

 このお寺には千葉県文化財に指定されている絹本著色(けんぽんぢゃくしょく)釈迦涅槃図があります。公開は年一回、二月十一日と決まっているそうです。知らなかったとはいえ、過ぎたばかりで惜しいことをしました。
 ト仙という人物によって天文六年(1537年)に描かれたと考えられていますが、ト仙がいかなる人物であるのか、いまのところは不明だそうです。

 


 本堂前の閻魔堂。桟の間から覗き見ると、承応元年(1652年)に造られたという等身大の閻魔様が間近に見えました。暗いので、眼をさまよわせながら覗き込んだら、目の前にギョロリと剥いた目玉が見えたので、少しギョッとしてしまいました。

 いつご開帳があるのかわかりませんが、下の画像は野田市のホームページから拝借しました。
 ただ、よそ者のいらぬお節介ながら、野田市が発行している観光ガイドマップには普門寺は載っていません。地図には卍印があるだけで、寺名すら記されていません。
 絹本著色釈迦涅槃図は千葉県が指定した文化財だから、市としては知らん、というかもしれないので、さておくとしても、閻魔像は野田市指定の有形文化財なのに、妙なことです。



 最後に本堂前の観音堂にお参りして普門寺をあとにしました。

 機会があれば、またきたいと思わせるお寺でした。
 偶然きたのに、またきてみたいと思えるお寺に出会えるのは、こよなくうれしいものです。ただし、また、と思ってはみたものの、最寄り駅はこの日利用した運河駅なので、往復七十分もかかります。おいそれとはこられないかもしれないと思い、おいそれとこられないからいいのだと思ったりするのです。

 同じ道を柏大橋まで戻り、国道16号を少し進むと、鳥居が見えたので、寄ってみると妙見神社でした。



 無住の上、柏市内の神社なので、説明板のたぐいもありません。



 真言宗豊山派円福寺。ここも無住。鐘楼がありましたが、鐘は取り外されていました。
 門前に「ふるさと散歩道-こんぶくろ池コース(全長7・8キロ)」と書かれた標柱があり、江戸時代末にはこのお寺に寺子屋があったという旨が記されていました。

 再び運河沿いの道に戻りました。
 夕暮れが近くなって、川風はいっそう冷たくなっていました。普門寺を出たときから帰りの行程に入っていますが、思わず遠くへきてしまっていたので、駅は遙かに遠い。
 東武線の橋梁と並行して架かっている、ふれあい橋が見えるようになってから、橋のたもとに辿り着くまで十分以上もかかりました。
 おぢさんはすっかり疲れ果ててしまっています。



 左岸。眺望の丘という土盛りの丘からずっと桜の樹がつづきます。
 手前に運河散策の森があって、そこに巨樹の一本・クヌギ(椚)があったのですが、駅に辿り着くことだけを考えていたので、失念していました。結局、四本の巨樹は一つだに見ることは叶いませんでした。

 


 運河駅間近のギャラリー平左衛門。百十年前に建てられた蔵を改造したギャラリーです。竹林に囲まれていて、ちょっといい雰囲気です。
 土日祝はここでレンタサイクルの貸し出し(¥500)があります。

 このギャラリーから運河駅まではわずか二分。しかし、改札口は線路を越した反対側にしかないので、階段を下って線路をくぐり、また上ったあと、柏方面のプラットホームへ行くために、また地下通路を通らなければなりません。
 運河駅に降り立ってから再び戻ってくるまで、三時間歩きづめの小旅行でありました。


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