今月の薬師詣では埼玉県の八潮市を歩きました。
正午までボランティア活動があったので、できるだけ近場を、と思い、八潮の福蔵院と三郷の密乗院に参拝しようと決めました。
松戸駅まで行き、八潮駅南口へ行く京成バスに乗ります。
乗車三十分、潮止橋南というバス停で降りました。
時刻表どおりなら十分前に着いているはずだったのですが、松戸駅から江戸川を渡る葛飾大橋まで渋滞があって、実際の空は積乱雲モクモクの猛暑であったのに、行程のほうは出発早々暗雲が立ち込めてしまいました。
バス停の前には手前に大瀬氷川神社(画像上)、隣に大瀬浅間神社。普段、神社にはあまり参拝しないのですが、今日は訪ねるところも尠ないので寄って行きます。
バス停から六分で最初の目的地・福蔵院に着きました。十八年前、2015年二月八日の薬師詣でで参拝して以来二度目の参拝になります。
真言宗豊山派の寺院。「八潮市史」によると、開創は慶安三年(1650年)。本尊は高さ三尺余の阿弥陀如来立像。
何故に再度参拝することになったのか、というと……。
本堂の手前にある、この弘法大師像と御堂(薬師堂)です。
つらつら考えてみれば、外に大師像が建立されているのに、後ろの御堂が大師堂であるわけはないのですが、初めてきたときは、「あ、大師堂。じゃあ、お薬師さんは本堂に祀られているんだ」 ― そう思ってしまったのです。
弘法大師には特別な思い入れを持たぬ私は、真言宗の寺院を訪れても、大師堂に参拝する習慣がありません。で、本堂に参拝する行きも帰りも肝心の薬師堂は通過。
あとになって、通り過ぎてしまったこの御堂が薬師堂であったと知って、いつか近いうちに、是非……と、いささかオーバーに表現すれば、心の休まる暇がなかったのです。
ということで、今回。出発が遅くなるので、できるだけ近場のお薬師さんを、と考えたときに、真っ先に思い浮かべたのがこの福蔵院であったという次第です。
道を挟んで、福蔵院の前には古新田稲荷神社。ここにもお参り。
福蔵院の前を通る道(古新田通り)には開いているのか閉まっているのかわからないような店がポツンポツンと……。古い佇まいの店ばかりですが、かつては賑わっていた商店街だったのかもしれないと思わせます。
つくばエクスプレスの八潮駅へ向かうため、潮止橋で中川を渡ります。歩道部分はそこそこ広く、川面までの高さもそれほどないので、高所恐怖症持ちの私にも抵抗なく渡ることができます。
福蔵院から八潮駅まではときおり陽が翳ることはあっても、この雲に加えて猛暑でした。
事前の計画では、八潮から三郷中央までひと駅だけつくばエクスプレスに乗り、密乗院という真言宗豊山派の寺院に参拝に行くつもりでしたが、三郷中央駅から密乗院までは徒歩で三十分もかかります。
出だしが順調であれば、行きは歩きでも、帰りは一時間に一本しかないバスに間に合う、という算段であったので、行こうという計画を立てたのですが、最初に乗ったバスが十分遅れたために、そのバスにはどうも間に合いそうもない。次のバスの時刻はマークしていないので、いつくるのかわからない。
猛暑の中を往復一時間も歩くのは、いくら修業といっても辛過ぎる。計画は途中で頓挫、ということにせざるを得ない、と思いながら、八潮駅までの道をポクポクと歩きます。
ほうほうの体で八潮駅に着いたのは、事前に立てておいたシミュレーションに遅れること二十五分。
バスは十分遅れだったのに、なぜに遅れが十五分もプラスされたのか、わかりませんが、猛暑に祟られて、エアポケットのような時間が生じたのかもしれません。
駅に辿り着くまでは、密乗院へ行くことはなかば諦めながらも、もしかしたら、という気持ちがなくはなかったのですが、駅に着いたらいっぺんに力が抜けてしまって、帰ることにしました。
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