時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

2007年の日本からの所得流出は23兆円

2008年07月03日 | 経済問題
原油や穀物などの輸入価格の上昇で、日本から海外への所得の流出が膨らんでいるという。
内閣府の調査によると、2000年時点と比べた輸出入物価や為替水準の変化により、2007年の1年間で1965億ドル(約23兆円)が海外に流出したという。この金額は、米国やドイツ、韓国を上回り、世界最大の規模であることが、内閣府が先日発表した報告書「世界経済の潮流」で明らかになった。
国際通貨基金(IMF)のデータなどをもとに主要国・地域について算出。流出額では日本に次ぐ2位の韓国が1156億ドル、以下、米国が437億ドル、シンガポールが417億ドル、ドイツが219億ドル。
日本は2003年以降、流出額が急拡大している。原材料の輸入価格が急上昇する一方、世界的な競争激化で製品の輸出価格が上がらなかったためだ。
ただ、所得流出額の実質国内総生産(GDP)に対する比率を2005~2007年の平均で見ると、日本は1.1%。シンガポールの6.5%、韓国の4.0%に比べれば少なく、ドイツと同程度だったという。
同様に計算した所得の流入では、中東(サウジアラビア、イランなど13カ国)が1571億ドル、カナダが421億ドル、オーストラリアが409億ドルだったという。
日本が、原油高騰や世界的な穀物価格の上昇のあおりをもろに受けている様子がよくわかる。
単純に言えば、日本が徐々に貧乏になっているということだろう。
今までは、輸出で稼いだ外貨で、原油や食料を大量に輸入し、消費してきたわけだが、これからはそうはいかないだろう。大量生産、大量消費、大量廃棄の生活を見直し、ロハスな暮らしをめざす時期に来ているのではなかろうか。
燃料の高騰で、日本はもちろんのこと、中国、台湾、韓国など東南アジアの国々で出漁を控える船が続出している。しばらくすれば、魚介類の価格に跳ね返ってくるだろう。それどころか、マグロなどには、なかなかお目にかかれない時代が来る可能性もある。
また、世界的な食料難が騒がれる中で、自給率が39%しかない日本が今後どのような道を歩むのかが問われている。減反を進める一方で、諫早湾を干拓して、一体何をするつもりなのだろうか?まさか、減反のために水田を作るわけではあるまい。
欲しい物がいつでも手に入った時代は終わろうとしているのではなかろうか。
これから社会がどのような方向に進むのか、しっかりと見極めたいと思っている。

まともな「税制改革」論議を望む

2008年07月03日 | 政治問題
2009年度税制改正の議論がスタートしているが、相続税強化など「格差是正税制」が浮上している。焦点の消費増税論議を控え、低所得者の不満を抑える狙いがあると報道されている。社会保障財源や道路特定財源見直しをめぐって、今後さまざまな議論が行われるだろうが、まともな「税制改革」論議を望んでいる。
自民党の税制調査会が1日に総会を開き、税制改正の議論を開始した。政府税制調査会(首相の諮問機関)も近く本格的な議論を始める予定である。 ここにきて浮上しているのが、「格差是正税制」論である。
消費税は、生活必需品を含めた商品やサービスを購入すれば、所得が高い人も低い人も等しくかかるため、低所得者ほど負担感が重い「逆進性」の税金である。
これに対して、政府・与党内には「富裕層への所得・資産課税を強めるべきだ」との声が出ている。相続税の課税強化などで富裕層の税負担を増やし、バランスをとろうということだ。
この議論には、大賛成である。
現在、相続税は、5,000万円の基礎控除に加えて、相続人1人当り1,000万円の控除がある。
たとえば、4人家族の世帯主が亡くなった場合、妻と2人の子供で、合計8,000万円の控除が受けられるということだ。土地などを持っていても、実勢価格に対して課税されるわけではないから、それほどには課税されない。これ以外に預貯金などがあっても、8,000万円もの財産を持っている庶民はほとんどいない。庶民には無縁の税金と言ってよい。
実際、この制度の下で、相続税を支払う人たちは、現在はわずか4%であるという。
しかも、この大金持ちの4%の人たちは、生前から家族に財産を分与したり、隠匿が可能な動産(貴金属や宝石など)として財産を隠蔽している場合が多い。
とすれば、相続税の控除は、もっと少なくても良く、控除学を超えた財産に対する税率はもっと高くても良いのではなかろうか。
「子孫に美田を残さず」というではないか。個人の努力で得た資産は、その個人のものであり、けっして子孫の業績や資産ではない。
相続税、贈与税などは、もっと課税を強化し、財産の子孫への継承は断ち切るべきであろう。それが、格差是正の決め手にもなるだろう。
一方で、注意が必要なことがある。
この相続税の強化が、「消費税の増税とセット」で議論されていることだ。
消費税の増税も行うが、資産家向けに相続税の増税も行いますよと言って、消費税増税を合理化しようというたくらみである。
海外に比べて、日本の消費税率は低い。しかし、海外では、食料品や日常生活雑貨、医療や教育などにかかる経費には、消費税がかからない仕組みを作っている。
消費税の導入前には、日本には物品税という税金があり、37,500円以上の「ぜいたく品」には、この税金がかかっていた。物品税が廃止され、消費税が導入された時に、もっとも喜んだのは、普段から37,500円以上のぜいたく品を買っていた資産家、金持ちだけであろう。
収入あるいは資産がたくさんある所からはたくさん取り、ない所からは少しだけ取る。これが税制の基本である。
この根本に立ち返った税制改革論議を進めて欲しいと思っている。