時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

「労働白書」仕事の満足度低下:背景に非正規急増や成果主義

2008年07月26日 | 社会問題
厚生労働省は2008年版の「労働経済の分析」(労働白書)を公表した。労働者の仕事に対する満足感を初めて取り上げ、雇用の安定や仕事のやりがいなどの面で満足度が低下していると指摘している。
背景として非正規労働者の急増や成果主義賃金の導入などを挙げ、「日本的雇用制度への再評価が広がっている」と分析している。
白書は内閣府の「国民生活選好度調査」からデータを引き、「雇用の安定」について「満足」と答えた人の割合が1978年の33%から2005年には14.8%に減ったと指摘し、同じく「仕事のやりがい」は30.5%から16.6%に、「収入の増加」も23.7%から6.2%に低下したことを示した。
そのうえで「企業が仕事への意欲を高める目的で導入した成果主義賃金制度が必ずしも成功していない。賃金制度の運用改善に心がける必要がある」と提言している。
また、正社員の仕事がなく、パート以外の非正規で働いている人の割合は2001年の38%から2006年には44%に上昇し、正社員に比べ相対的に仕事への満足感が低いと強調している。「正社員になれない就業者の不安や不満が高まっている。非正規雇用はコスト削減には有効でも、職業能力を高めず、労働生産性向上にはマイナス」と断じている。
そして、日本が国際競争力を失っていく過程で批判された長期雇用や年功序列賃金制度などに言及し、「再評価の動きがある」と報告している。
なかなか、的確な指摘である。拍手をしておこう。
しかし、この白書を閣議決定しておきながら、はたして政府はこの点について企業に改善を求めることができるだろうか?その意志はあるのだろうか?
たとえば、非正規雇用を減らし、正規雇用を増やすよう、企業に指導ができるだろうか?
「規制緩和」で、現在では、非正規雇用があらゆる業種で認められるようになったが、これを元に戻すことができるだろうか?
あるいは、賃金制度などを規制することができるだろうか?
やる気さえあれば、1本か2本の法律で可能なことだが、財界や大企業の意向に逆らってまで、今の政府にそんなことをする勇気があるだろうか?
とても、改善は望めない。
あの小泉政権時代に、「改革」と称して実行してきた結果が、このような結果となって国民の肩にのしかかっている。国民の多くも、「改革」の幻想に騙されてこの政権を支持してきたわけだが、事の本質が明らかになった以上、小泉「改革」に熱狂したことには反省しつつ、政府に改善を求めることが重要ではなかろうか。