2009年度税制改正の議論がスタートしているが、相続税強化など「格差是正税制」が浮上している。焦点の消費増税論議を控え、低所得者の不満を抑える狙いがあると報道されている。社会保障財源や道路特定財源見直しをめぐって、今後さまざまな議論が行われるだろうが、まともな「税制改革」論議を望んでいる。
自民党の税制調査会が1日に総会を開き、税制改正の議論を開始した。政府税制調査会(首相の諮問機関)も近く本格的な議論を始める予定である。 ここにきて浮上しているのが、「格差是正税制」論である。
消費税は、生活必需品を含めた商品やサービスを購入すれば、所得が高い人も低い人も等しくかかるため、低所得者ほど負担感が重い「逆進性」の税金である。
これに対して、政府・与党内には「富裕層への所得・資産課税を強めるべきだ」との声が出ている。相続税の課税強化などで富裕層の税負担を増やし、バランスをとろうということだ。
この議論には、大賛成である。
現在、相続税は、5,000万円の基礎控除に加えて、相続人1人当り1,000万円の控除がある。
たとえば、4人家族の世帯主が亡くなった場合、妻と2人の子供で、合計8,000万円の控除が受けられるということだ。土地などを持っていても、実勢価格に対して課税されるわけではないから、それほどには課税されない。これ以外に預貯金などがあっても、8,000万円もの財産を持っている庶民はほとんどいない。庶民には無縁の税金と言ってよい。
実際、この制度の下で、相続税を支払う人たちは、現在はわずか4%であるという。
しかも、この大金持ちの4%の人たちは、生前から家族に財産を分与したり、隠匿が可能な動産(貴金属や宝石など)として財産を隠蔽している場合が多い。
とすれば、相続税の控除は、もっと少なくても良く、控除学を超えた財産に対する税率はもっと高くても良いのではなかろうか。
「子孫に美田を残さず」というではないか。個人の努力で得た資産は、その個人のものであり、けっして子孫の業績や資産ではない。
相続税、贈与税などは、もっと課税を強化し、財産の子孫への継承は断ち切るべきであろう。それが、格差是正の決め手にもなるだろう。
一方で、注意が必要なことがある。
この相続税の強化が、「消費税の増税とセット」で議論されていることだ。
消費税の増税も行うが、資産家向けに相続税の増税も行いますよと言って、消費税増税を合理化しようというたくらみである。
海外に比べて、日本の消費税率は低い。しかし、海外では、食料品や日常生活雑貨、医療や教育などにかかる経費には、消費税がかからない仕組みを作っている。
消費税の導入前には、日本には物品税という税金があり、37,500円以上の「ぜいたく品」には、この税金がかかっていた。物品税が廃止され、消費税が導入された時に、もっとも喜んだのは、普段から37,500円以上のぜいたく品を買っていた資産家、金持ちだけであろう。
収入あるいは資産がたくさんある所からはたくさん取り、ない所からは少しだけ取る。これが税制の基本である。
この根本に立ち返った税制改革論議を進めて欲しいと思っている。
自民党の税制調査会が1日に総会を開き、税制改正の議論を開始した。政府税制調査会(首相の諮問機関)も近く本格的な議論を始める予定である。 ここにきて浮上しているのが、「格差是正税制」論である。
消費税は、生活必需品を含めた商品やサービスを購入すれば、所得が高い人も低い人も等しくかかるため、低所得者ほど負担感が重い「逆進性」の税金である。
これに対して、政府・与党内には「富裕層への所得・資産課税を強めるべきだ」との声が出ている。相続税の課税強化などで富裕層の税負担を増やし、バランスをとろうということだ。
この議論には、大賛成である。
現在、相続税は、5,000万円の基礎控除に加えて、相続人1人当り1,000万円の控除がある。
たとえば、4人家族の世帯主が亡くなった場合、妻と2人の子供で、合計8,000万円の控除が受けられるということだ。土地などを持っていても、実勢価格に対して課税されるわけではないから、それほどには課税されない。これ以外に預貯金などがあっても、8,000万円もの財産を持っている庶民はほとんどいない。庶民には無縁の税金と言ってよい。
実際、この制度の下で、相続税を支払う人たちは、現在はわずか4%であるという。
しかも、この大金持ちの4%の人たちは、生前から家族に財産を分与したり、隠匿が可能な動産(貴金属や宝石など)として財産を隠蔽している場合が多い。
とすれば、相続税の控除は、もっと少なくても良く、控除学を超えた財産に対する税率はもっと高くても良いのではなかろうか。
「子孫に美田を残さず」というではないか。個人の努力で得た資産は、その個人のものであり、けっして子孫の業績や資産ではない。
相続税、贈与税などは、もっと課税を強化し、財産の子孫への継承は断ち切るべきであろう。それが、格差是正の決め手にもなるだろう。
一方で、注意が必要なことがある。
この相続税の強化が、「消費税の増税とセット」で議論されていることだ。
消費税の増税も行うが、資産家向けに相続税の増税も行いますよと言って、消費税増税を合理化しようというたくらみである。
海外に比べて、日本の消費税率は低い。しかし、海外では、食料品や日常生活雑貨、医療や教育などにかかる経費には、消費税がかからない仕組みを作っている。
消費税の導入前には、日本には物品税という税金があり、37,500円以上の「ぜいたく品」には、この税金がかかっていた。物品税が廃止され、消費税が導入された時に、もっとも喜んだのは、普段から37,500円以上のぜいたく品を買っていた資産家、金持ちだけであろう。
収入あるいは資産がたくさんある所からはたくさん取り、ない所からは少しだけ取る。これが税制の基本である。
この根本に立ち返った税制改革論議を進めて欲しいと思っている。