阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

やめ検弁護士❝郷原信郎❞が書いた「検察の正義」を読みました。

2022年10月12日 | 「過去の非日乗&Shot日乗」リターンズ
2010年01月19日(火)「阿智胡地亭の非日乗」掲載

検察の現役検事から「郷原のところに取材に行くなら、もうお宅とは本件で話はしないよ」と言われたと、ある新聞記者が書いたものを読んで、

「郷原WHO?」と興味を持ちました。

その「東京地検特捜部元検事だった郷原信郎」が書いた“検察の正義”を今日から読み始めました。

「序章 私にとって検察とは
第1章 私が見てきた検察
第2章 日本的刑事司法の構造と検察
第3章 経済検察への展開と「迷走」
第4章 政治資金捜査の行きづまり
第5章 揺らぐ「検察の正義」
終章 「長崎の奇跡」」


本の概略と著者略歴は;

内容(「BOOK」データベースより)

理学部出身、鉱山会社を辞めて独学で司法試験に合格した「変わり種」が、さしたる動機も思い入れもなく、無理やり引きずり込まれた検察の世界
そこで目にしたのは、刑事司法の「正義」を独占してきた検察が社会・経済の構造変革から大きく立ち後れている姿だった
。談合事件やゼネコン汚職などで「組織の論理」への違和感に悩んだ末に辿り着いた自民党長崎県連事件。中小地検捜査の常識を超える「長崎の奇跡」だった。
こうした経験から、政治資金問題、被害者・遺族との関係、裁判員制度、検察審査会議決による起訴強制などで今大きく揺れ動く「検察の正義」を問い直す。
異色の検察OBによる渾身の書。

著者について

1955年島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、06年弁護士登録。
08年、郷原総合法律事務所開設。名城大学教授・コンプライアンス研究センター長、桐蔭横浜大学法科大学院客員教授。
警察大学校専門講師、公正入札調査会議委員(国土交通省、防衛省)、タウンミーティング調査委員会委員(内閣府)、
標準報酬遡及訂正事案等に関する調査委員会委員(厚生労働省)など政府関係の委員を多数務めるほか、不二家信頼回復対策会議議長、
和歌山県公共調達検討委員会委員長など企業・官庁の不祥事対応でも活躍するコンプライアンスの第一人者。
「政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」委員などとして検察問題についても積極的に発言。
『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会--「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)、『入札関連犯罪の理論と実務』(東京法令出版)など著書多数。
2010年01月20日(水)「阿智胡地亭の非日乗」掲載

昨日の午後読み出したら結局その日のうちに最後まで読み通してしまいました。それだけ面白い本でした。

☆司法試験受験一本だけで青春を過ごした訳ではない、島根県松江生まれの普通の社会人が司法試験に通り、

検事に任官し検察の中で体験した現在の検察の運営と実態が冷静に淡々と書いてある。

内部告発というのではなく、自分が20年以上属した「検察庁」と言う法務省の部門を、組織保持・自己増殖が目的の組織ではなく本来の目的に沿った組織にするには、

つまり国民のための社会秩序維持組織にするにはどうしたらいいかという提言の本でもある。

若手の志ある検事たちはこの本を密かに喜び、エライ幹部さん方にとってはとんでもない本が出版されたんだと思った。

それにしても理学部を卒業して一般企業に就職した人間が、針路変更して3年で司法試験に合格する。そんな人もいるんですねぇ!

今の小沢問題ということだけではなく、日本の国家機関の中で最強権力組織に見える「東京地検特捜部」が、時代の、社会の流れから外れてきているのでは?

という観点から書かれた本が、3年前までその組織の成員だった人間により書かれたのには、歴史上の意味があるような気がする。

参考になった書評から:
2
【内容】
■検察と刑事司法制度の特殊性
●日本
・密室での取調べの結果得られた詳細な自白を基に、職業裁判官によって緻密な事実認定が行われる
・個々の事件の処分が適正かどうかは、上司の決裁と上級庁の監査によって組織内でチェックされている(「すべての事件は法と証拠に基づいて適正に処理されている」)
同じ法曹資格者による検察官の集団である特捜部が逮捕から起訴まで、すべて自前で行い、しかも、検察が組織として起訴を了解している事件について無罪の判断をするのは
、裁判所としても相当な覚悟がいる。(本文103p)
●アメリカ
・司法上の認定事実(≠実体的真実)の確定が目標
・黙秘権は保障され、供述聴取には弁護人の立会も認められる
・刑事免責、司法取引などによって、一定の範囲で実体的真実の追求を放棄してまでも一部の者の刑事責任の追及が図られる

●検察を取り巻く環境変化
・贈収賄の個別摘発という”悪党退治”から、広範囲に影響を及ぼす経済検察(政治資金規正法)への展開
・検察審査会の機能強化と裁判員制度によって、”検察の正義”は相対化され、説明責任が新たに発生する

●特捜部の体質を変えるには
特定の人物に狙いを定め、それを「悪者」とするストーリーを設定して、大規模捜査班を編成して敵と対峙する、「上命下服型・対決型」の操作から脱却し、
個々の検事の主体性を尊重し能力を最大限に引き出す柔軟で機動的な捜査班の編成に転換する必要がある。
それによって、捜査対象側の協力も得て違法行為の実態を全体的に客観的に明らかにする操作を行うことも可能になる(本文167p、終章「長崎の奇跡」でその成功例が示されている)
 

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