いつものように映画評を読まず、ほとんど事前知識なしで映画館の席に座った。
1)ホワイトハウスに沢山の黒人の執事やコックやメイドが働いているとは知らなかった。彼らは20年ほど前まで白人の使用人と同じ仕事をしていても
給料は40%安く、管理職への道は閉ざされていた。
映画の主人公は昭和初年の南部の綿花農場で、母を乱暴した農場主に立ち向かおうとしてその場で射殺された父とそのために精神に異常をきたした母を持つ少年だった。
その農場を脱出して北部に移動し、職を転々としながら彼は巡り合わせと運と対人能力でついにホワイトハウスの執事になった。
この映画は彼と彼の妻、そして彼らの二人の息子の物語である。
2)これは猛烈なメッセージ映画とも見ることが出来る。
黒人がアメリカ人としての権利を勝ち取るための公民権運動の長い長い辛苦の闘いの軌跡を描いた映画とも見える。
人種差別の想像を越える激烈さ、その中を生き抜いた強い男の物語とも思える。
アメリカのベトナム戦争や七代もの大統領の人となりを描くアメリカ現代史の映画でもある。
私は思った。こんなテーマを商業映画として制作するアメリカと言う国が持っている強靭な厚みと深さ。
こんな映画をロードショーから全米の映画館で配給して、見に来る観客がいると読むプロデユーサー。当然ペイすると信じなければ、映画資本は映画を作らない。
事実に触発(inspired)されて出来たシナリオとある。
儲けだけを考えてこの映画を作ったわけではなさそうだ。
3)映画と言うメディア。プロパガンダの道具として人類が手にしている現代の最高の手段だということも見た後思った。
視覚、聴覚をフル活動させ、脚本、俳優、演技、笑い、涙・・
映画を見ることも、新聞を読むことも、テレビを見ることも、本を読むことも、他者から情報操作を受け、マインドコントロールをされ、
洗脳されているという事ではあるが、人類は情報の種類は違っても、何百万年ものあいだ、外部からの情報を自分なりに情報処理をして、生きぬく人間は生きてきた。
ある意味、人間が生きるという事はそれぞれの自分なりの情報処理の連続ともいえる。
4)映画を見る楽しみはハラハラドキドキの展開があるかどうかにつきるが、この映画もしっかりその喜びをもらえた。
そしてエンドロールでジェーン・フォンダの名前が出てきて、どこにいたんだと驚いた。
そのあとの配役を見てびっくりした。彼女はほんまの役者やなぁと感嘆した。
キャロライン・ケネデイさん役も小さな少女で登場する。その彼女はいまや駐日大使で日本にいる。
そして私の好きな映画「夜の熱気の中で」と、主役のシドニー・ポワチエを公民権運動をしている長男が「あの映画は白人好みの黒人を描いただけだし、
ポワチエは黒人の皮をかぶっているけど身体の中は白人だ」とけなす場面があった。まこと人の評価は時代と立ち位置で違ってくる。
自分が生きてきた時代と、この大統領の執事がホワイトハウスで過ごした時代はかなり重なる。そういう意味でアメリカ映画なのに、
登場人物たちにある種の感情移入が出来る面白い映画だった。お勧めします。
追記:原題は「執事」日本の題名は「大統領の執事の涙」。せめて「大統領の執事」で止められなかったのか。
日本人がつけたこの日本名は、日本人が幼児化していることを自ら認めているような気がして気に入らない。
予告篇
2014.03.09 ~ 2014.03.15
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1)ホワイトハウスに沢山の黒人の執事やコックやメイドが働いているとは知らなかった。彼らは20年ほど前まで白人の使用人と同じ仕事をしていても
給料は40%安く、管理職への道は閉ざされていた。
映画の主人公は昭和初年の南部の綿花農場で、母を乱暴した農場主に立ち向かおうとしてその場で射殺された父とそのために精神に異常をきたした母を持つ少年だった。
その農場を脱出して北部に移動し、職を転々としながら彼は巡り合わせと運と対人能力でついにホワイトハウスの執事になった。
この映画は彼と彼の妻、そして彼らの二人の息子の物語である。
2)これは猛烈なメッセージ映画とも見ることが出来る。
黒人がアメリカ人としての権利を勝ち取るための公民権運動の長い長い辛苦の闘いの軌跡を描いた映画とも見える。
人種差別の想像を越える激烈さ、その中を生き抜いた強い男の物語とも思える。
アメリカのベトナム戦争や七代もの大統領の人となりを描くアメリカ現代史の映画でもある。
私は思った。こんなテーマを商業映画として制作するアメリカと言う国が持っている強靭な厚みと深さ。
こんな映画をロードショーから全米の映画館で配給して、見に来る観客がいると読むプロデユーサー。当然ペイすると信じなければ、映画資本は映画を作らない。
事実に触発(inspired)されて出来たシナリオとある。
儲けだけを考えてこの映画を作ったわけではなさそうだ。
3)映画と言うメディア。プロパガンダの道具として人類が手にしている現代の最高の手段だということも見た後思った。
視覚、聴覚をフル活動させ、脚本、俳優、演技、笑い、涙・・
映画を見ることも、新聞を読むことも、テレビを見ることも、本を読むことも、他者から情報操作を受け、マインドコントロールをされ、
洗脳されているという事ではあるが、人類は情報の種類は違っても、何百万年ものあいだ、外部からの情報を自分なりに情報処理をして、生きぬく人間は生きてきた。
ある意味、人間が生きるという事はそれぞれの自分なりの情報処理の連続ともいえる。
4)映画を見る楽しみはハラハラドキドキの展開があるかどうかにつきるが、この映画もしっかりその喜びをもらえた。
そしてエンドロールでジェーン・フォンダの名前が出てきて、どこにいたんだと驚いた。
そのあとの配役を見てびっくりした。彼女はほんまの役者やなぁと感嘆した。
キャロライン・ケネデイさん役も小さな少女で登場する。その彼女はいまや駐日大使で日本にいる。
そして私の好きな映画「夜の熱気の中で」と、主役のシドニー・ポワチエを公民権運動をしている長男が「あの映画は白人好みの黒人を描いただけだし、
ポワチエは黒人の皮をかぶっているけど身体の中は白人だ」とけなす場面があった。まこと人の評価は時代と立ち位置で違ってくる。
自分が生きてきた時代と、この大統領の執事がホワイトハウスで過ごした時代はかなり重なる。そういう意味でアメリカ映画なのに、
登場人物たちにある種の感情移入が出来る面白い映画だった。お勧めします。
追記:原題は「執事」日本の題名は「大統領の執事の涙」。せめて「大統領の執事」で止められなかったのか。
日本人がつけたこの日本名は、日本人が幼児化していることを自ら認めているような気がして気に入らない。
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