何故準備できなかったのか

2018-06-07 19:34:46 | 司法試験関連

毎年書いてることですが、「基準点突破」と言っても、65~70%の受験生がクリアできる点数であり、平均点以下でもOK、というレベルです。つまり、基準点をクリアすることは「短答合格」と言うような大層なものでは全くなく、要は「採点してもらえる」と言う程度の意味しかありません。

残念ながら本日今シーズンが終わってしまった1500名の受験生は、以上のような「現実」をまずは直視しなければいけません。そもそも、「基準点レベル」を目標にすること自体、既に受験戦略的に酷い誤りです。最終合格することが唯一無二の目標なので、少なくとも、「如何にして1000番以内に入るか」、という発想をしないと駄目なのです。

「自分は何故本番までに3科目の短答の準備すら満足にできなかったのか」。傷口に塩を塗りたくる問いに向き合う事が再生への第1歩です。そして外的要因に答えを求めては駄目です。100%自分自身の問題です。

来年受かるためには、この辛く厳しい問いかけに自分で答えをまず出すことが不可欠です。「仕方ない、来年頑張るか」という軽い気持ちでリスタートしてはいけません。また同じ轍を踏むことになります。あの辛く苦しい5日間を思い出してください。あんなのは受けるにしてもあと1回で十分です。

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再現答案の作成

2018-06-07 18:10:07 | 司法試験関連

基準点をクリアできなかった人は、まず最初に「再現答案の作成」をしましょう。採点して貰えないと言うのは大きなハンディです。

そこで9月以降、合格再現答案・不合格再現答案と照らして、自分の足りない部分を焙りだす作業が必要となってきます。合格者に見てもらうこともあるでしょう。その際に、自分自身の再現答案がなければその作業ができません。9月に「再現」などしても、そんなもん「再現」でも何でもありません。

やるなら余計な情報が入ってこない今の内にです。大事なことは「正直に」再現する、と言う点です。こんなところでお手盛りしても意味ありません。なるべく「リアルに近い答案」を作成しましょう。今しかできない作業です。緊急度相当高めのミッションです。

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まずは8割を目標

2018-06-07 16:48:06 | 司法試験関連

目指すべき合格レベルですが、今年も短答の結果で見てみましょう。

133点だと累計が1303名で、131点で累計が1503名になります(2点で順位が200位変わるという事です)。恐らく最終合格者数はこのラインになると思うので、目指すべきレベルは短答で「131点~133点レベル」、と見てよさそうです。

私はいつも「短答は8割を目指すべき」と言う指導をしていますが、133点だと得点率は76%になります(毎年似たような数字で推移していますので目安になるかと思います)。

やはり、普段の到達目標としては、「短答は8割以上」というのが安全ではないかと思います。まずは「目指せ短答8割」ですね。

但し、あくまでもいわゆる「滑り込みセーフ」のレベルとしてですが。やはり論文で受かるには短答でそれなりの高得点が取れる実力が大前提という事なんですよね。

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3669名

2018-06-07 16:27:08 | 司法試験関連

3669人でしたね。対受験者数比でいうと何と70%。例年に比べると随分多めのところで切ったなと言う印象です。

率もそうですが、受験者数が減って来ているので、「採点可能な数がどうか」の方が重要になってきているのかなぁ、と思いました。他方で昨年並みの人数にしてしまうと突破率75%となり、さすがにそれでは高すぎると言う配慮もあったかもしれません。

突破者数は、1位中央296名、2位早稲田244名、3位慶應240名、4位東大199名、5位京大192名と言う順。上記5大ローは今年も100名以上の合格者数にはなりそうです。最終的な合格者数を1500人程度で維持するかどうかでも大きく数字が変わってきそうですが。

予備組は431名が基準点をクリア。突破者のうち70%の合格率で300名越えとなりますが、昨年は対受験予定者数比で74%の合格率ですので、余裕で初の300人越えとなりそうですね。

まずは基準点を突破された方、一安心ですね。

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基準点発表日

2018-06-07 11:40:06 | 司法試験関連

今日は本試験の基準点発表日ですね。第1次選抜の結果が出ます。自己採点をして余裕がある人は別としてやはりドキドキすると思います。私は自己採点をしない派だったので、基準日が過ぎても葉書を開くまでドキドキしていました。

例年、受験者数に対して65%前後の人数が採点対象になるような切り方をしています。今年は5238名が受験しているので、昨年と同様の比率であれば、3450名程度のラインで線引きをする可能性があります。

最終合格率も基本的に対受験者数23~25%前後で推移していますので、1210人~1310名あたりでしょうか。

まぁ、こんな予想しても何の意味はないんですが、1800名近い人の今シーズンが今日終わってしまうと考えると、きつい話です。

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論文問題による網羅性

2018-06-06 20:59:09 | 司法試験関連

本試験の論文試験は、予備試験と実施目的が異なるため、出題範囲に偏りがあるのは事実です。これは本試験で試そうとしている能力を見るのに最適な素材が限られているという面があるからです(但し、初期の頃に比べるとやや変化があるとは言えますが)。

しかし、受験生的にはそのような出題の偏りに普段の勉強から流されてはいけません。試験に「絶対」という言葉はないので、想定外の「揺さぶり」はありうるからです。

L1.L2段階で、ある程度満遍なく知識を身に付けることは必要不可欠です。特に「論文問題を解くという形」でも、ある程度の「網羅性」を持つようにしたいところです。知識はあっても処理手順やら検討の仕方が分からない、ということが無いようにするためです。以前、政教分離が出たときに、「人権問題以外解いたことがない」、「政教分離の検討の仕方が分からない」と言う受験生がそれなりにいて驚いたことがありますが、似たようなことになっているのかもしれませんね。

最近の予備校の論文講座は何故だか扱う問題数が削減傾向にあります。そのため「論文問題における網羅性」に脆弱性が出てきているのかもしれません。私が受講していた頃は(随分前ですが)、オリジナル問題も含め民法なら120問以上、他の科目でも70~80題くらい扱っていた記憶があります。これにプラスして答練を半年間にわたり毎週受けているので、論文問題を解くと言う経験値は高かったと思います。

旧司法試験の問題も、「平成以降をやれば十分」という言い方をする人が増えましたが、民法、刑法なんかは、昭和40年代・50年代の問題でも学ぶべき点の多い良問が多いので勿体ないんですけどね。意外に解けないんじゃないかなぁ。

今年の民訴が手強いと感じた人は、旧司法試験の問題を多く解くといいと思いますよ。

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今年の本試験は「変化球」だったのか。

2018-06-05 11:36:39 | 司法試験関連

今年の本試験に関しては、試験期間中から「波乱が起きている」という受験生情報が頻繁に流れていました。最初は、「えぐい変化球で来たか。大変だろうな」と思っていました。

しかし、実際に問題を見てみると、第5回くらいまで見られた民訴や刑訴の「暴れん坊将軍」的なものを想像していたので「ちょと想像と違った」というのが今の印象です。

民訴については、「既判力や弁論主義が出ないときつい」、という意見も見られました。細かい手続き的な事や考えたこともないような現場思考型の問題でもぶっこんできたのかと思いましたが、今年の問題の民訴は「普通の民訴の問題」だと思います。旧司法試験の民訴の過去問題を十分検討していれば、対処できる問題だと思いました。もしかしたら、偏った勉強になっていたのではないのかと危惧します。民訴は既判力と弁論主義だけじゃないです。

刑法も当初「学説指定きたー」的な話でしたが、これは「学説指定」と言う大げさな話ではなく、本件事例を殺人罪を肯定する場合、保護責任者遺棄罪で行く場合(殺人罪否定)という入門レベルでも話すような内容で、事例によっては誰もが両方の立場で検討する可能性のあるケースにすぎません。学説というよりは、それぞれの結論から論ぜよと言うだけの話。刑法に限らず、普段から一つの立場・結論からしか事例を見ないときついと思います。私はよく判例の説明などで、「事実関係がこうだったらどうなるか」、「この事例で別の結論をとる場合、どの事実を重視するか、どう説明するか」という話を頻繁にしますが、こういう「頭の体操」がとても大切だと思います。考えるトレーニングですね。

刑法に関しては受験生がトッ散らかった答案を書かないように、答案の枠組みを指定してくれたもので、むしろ悩みが少なくなるはずです。刑法は楽だった、という感想が出てもおかしくないと言うのが正直な感想でした。

もちろん、理由は人それぞれだと思いますが、内容面以外でも、「書きかたに慣れていない」、というのが想像以上にデカかったのかなとは思います。昨今の「過去問題至上主義」の弊害といいますか(これについては別に書きます)、「このパターンだけ」という思い込みが強すぎたのではないでしょうか。

マニュアル思考もそうですが、L3のテクニカルな面に目が行きすぎて、肝心のL2が脆弱だったのではないか、L1に穴が多いのではないか、というのがザックリした私の感想です。来年に向けての一つの参考になればと思います。

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条文検索能力が重要である理由

2018-06-04 16:55:33 | 司法試験関連

会社法は「条文が大事」と言う話は耳にタコができるほど聞かされていると思います(笑)。もうええわと。

短答では条文正誤問題が直球勝負で来るし(苦し?)、論文でも条文の解釈問題が出てくるわけです。更に、そもそも「法令違反」の有無を検討しなければいけない問題が、会社法は非常に多いわけです。

総会の決議の効力の問題もそうですし(特に手続の法令違反は細かいですね)、取締役や監査役の任務懈怠を問う問題でも、前提としてどのような義務があるのかは当然問題になります。「法令違反」と答案で書く以上、「何条違反なのか」は指摘しないと話になりません。「どのような手段を取れるか」と言う問題については、制度が分からなければ話になりません。

このように、実は「論点抽出段階」においても「条文検索能力」があるかないかで、題分析の瞬発力」に大きな違いが出てきてしまうのです。

会社法は本試験では途中答案が出やすい科目として有名ですが、さり気なくこんなところにもその原因の一つがあるのかもしれませんね。

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会社法条文の慣れ方

2018-06-03 11:02:43 | 司法試験関連

基礎段階での会社法の条文の読み方についてです。いきなり細部まで読み込んでいくと多分気持ち悪くなります。

そこで、①まず講義を聞く、②該当箇所の条文を条文タイトルだけ拾い読みする(例:発起設立の条文群)。③テキストに指摘のある条項は読んでみる。

最初はこんな感じでもいいと思います。大事な作業は②です。大体どのような条文配置なのか、どのような規定があるのか、イメージをもてるようにすることがポイントです。

後はおいおい、自分で読み込んでいく時間を取ればいいのです。

小さな努力をこつこつと、です。BEXAで販売中の「改正会社法条文マーキング講義」はその点便利だと思います。って最後に宣伝が(笑)。

今日もやり切りましょう!

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会社法百選10~12事件

2018-06-02 16:50:58 | 司法試験関連

今日も元気に4期基礎攻略会社法の収録でした!百選10事件~12事件はセットで理解しましょう!

百選10事件は、「106条本文の通知がない以上、原告適格は認められない」→「但し特段の事情があれば別」→「特段の事情が本件ではある」と言う流れ。押さえるべきポイントは「何故本件では著しく信義に反するという特段の事情が認められたのか」です。ここを押さえないと意味がありません。ヒントは「矛盾行動」。

百選11事件は、「106条本文の通知がない以上原告適格は認められない」→「指定・通知を不要とすべき特段の事情もない」と言う流れ。何故「指定・通知を不要とする」特段の事情を「あえて」認めなかったのか、ここを押さえる必要があります。「本件事案の特殊性」がポイントです。本件事実関係のもとでは「わざわざ」例外を認めなくても不合理な結果にはならないからなんですが、そのヒントは「10分の9」。

百選12事件は、平成27年2月19日で有名なやつですね。キーワードは「共有者間におけるデッドロック状態」。このような場合に、「先に好き放題やったもんがち」的な人間を許していいのかという価値判断がまずあります。また、百選10事件と同じように、前提として「本件訴訟提起はそもそも適法なのか」は問題になりえます。ついでに権利行使が「管理行為」ではなく、「変更行為」になるケースはどのような場合かも押さえておきましょう。

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商法は何故手強いか

2018-06-02 10:15:53 | 司法試験関連

商法がやっかいな理由は,妙に実務色が出てくること,条文検索能力が問われていること,受験生が事例慣れしていないこと,誘導がまるでないこと,などだと思います。

受験生的にも,条文を引きたがらない人が多いので,商法における「条文問題」は短答のみならず論文でも深刻化してきています。商法は,「対応する規定がないからどうしましょう」,とか「規則に書いてあるよね?」とか,「条文直球問題」が多いので,条文検索能力がないと本番で文字通り立ち往生しかねません(特に「条文がないから問題になる」系は,無い条文を探し続けるということになるので深刻です)。

また,事例慣れしていないと言うのは、私が注意を喚起していることです。商法は,判例を読む際に,あまり事実関係を読み込んでいない人が多いと思います。民法も似ているところがあると思いますが,百選を読むにしても商法の場合は,論点名と結論が分かればとりあえず良し,的なところがあり,いわゆる「本件事案の特殊性」なり「事実の評価」なりはあまり気にしていない人が多いのではないかと思うのです。そのため,判例学習において「生の事実関係に触れる機会」が他の科目にくらべて少ないのです。

更に短答の問題も,民法や刑法などは,事例問題にして聞いてくることが多いですが,商法は,抽象的に条文内容の正誤をそのまま聞いてくる○×問題パターンが圧倒的なので,ここでも事例に触れる機会がありません。これは意外な盲点です。おまけに旧司法試験の論文問題は商法は抽象度が高いものが多く(事実上の1行問題的なものが大半),ここでも細かい事実関係に触れる機会が少ないのです。

以上のことから,実は商法は他の科目以上に「事例なれしていない」可能性が高いので,事実関係から「あれが問題になるんじゃなかろうか」という部分で苦労しているのではと思います。受験生からも「何が問題になるのか検討がつかない」,「答えを聞いても,ああそれが問題になるんだという感じがする」という類の感想をよく聞くのが商法なのです。他の科目と比べた場合顕著な傾向です。つまり,商法に関しては、「論点抽出能力」レベルで苦戦していると思われます。

以上の点を踏まえ,意識的に商法は長めの事例問題を量的にこなすようにすべきだと思います。

*条文はとにかく普段から読みまくりましょう。慣れればなんてこたないのです。

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会社法百選5事件とA1事件の違い

2018-06-01 17:52:27 | 司法試験関連

百選5事件(最判昭和33年10月24日)と百選A1事件(最判昭和35年12月9日)の事例処理の違いの理由は分かりますでしょうか。

百選5事件の方は、「発起人の開業準備行為」の事件です。A会社はまだ設立中であるにもかかわらず、「A会社代表取締役」として発起人の一人であるYが野球試合の実施をX球団と締結した事件。Yが民法117条1項の類推適用で個人的に責任を負いました。

A1事件は、石炭販売業を目的とする設立中の会社Aの発起人であったY1~7らが、設立以前に同会社名義で石炭販売事業を行った事例です。発起人は7人いましたが、うち4人による組合の代理権が認められた事例です。この事件では発起人組合の組合員Yら7名全員の責任が認められています。

A1事件では、会社の事業である石炭販売業を発起人組合が行った事例で、会社の事業行為は「発起人組合の」目的の範囲内に含まれ、しかもY1~4らに組合の代理権が認められたので、売買契約の法的効果が組合員全員に帰属する、と処理されたのです(これは民法上の組合における組合の目的如何の問題で、本件では設立会社の事業行為も組合の目的の範囲内である、という合意が認められたのである)。

それに対し、百選5事件では、野球試合の開催は、A社の宣伝目的で行われたもので、A社の事業行為そのものではありませんでした。そのため、「発起人組合の」目的の範囲内の行為とも認められませんでした。当然、組合員には効果帰属しません。結果、「Yのスタンドプレー」とみなされ、無権代理人類似の責任を個人的に負う、と言う処理になったのです。

両事件では、「設立中の会社=成立後の会社」に対する責任追及は一切問題になっていません。それは、A1事件で問題となった「事業行為」は、設立中の会社の権利能力の範囲外なので効果帰属せず(争いなし)、百選5事件も、「開業準備行為」は判例の立場では、設立中の会社の権利能力の範囲外になるのでこれまた効果帰属しないからです。

なんて講義を4期基礎攻略ではやっています。今日収録したんですけどね(笑)。

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