ついに事実上の決勝戦とも言うべきオールブラックスVSスプリングボックスの永遠のライバル対決があすに迫った。
ニュージーランドはラグビー世界最強と言われているが、実は「真の世界一は南アフリカ」と言われていた時代が長い。最近まで、ニュージーランドが唯一負け越していた相手が南アだった。しかし悪名高いアパルトヘイト政策のため、南アは国際舞台から追放されてしまい、両国の対戦は夢の対決となっていた。その後、国際社会に南アが復帰し、ワールドカップには第3回大会より参加、いきなり開催国優勝というド派手な復帰を決めたのだ。
南アの売りは、フォワード戦である。しかし、国際社会から追放されていた間に、フォワード戦術が飛躍的に複雑化し、南アは「現代化」に乗り遅れてしまった。このダメージは大きく、W杯優勝後しばらく低迷期に入る。ニュージーランドにも連戦連敗した時期があり、そのため、対戦成績も逆転されてしまったという経緯がある。
さて、いよいよ真の世界一の称号を争う両国の対決である。今大会初の「ラグビー超大国」同士の激突だ。勝者が最多単独記録となる3回目の優勝を決める可能性が高いので、負けられない一戦となる。
見所は、南アのフォワード攻撃と徹底したディフェンス。ニュージーランドはバックスの展開力。スロー・スターターのニュージーランドをいかに焦らせるかが南アの勝機となろう。ニュージーランドは一度爆発すると手に負えなくなるが、焦らされてくると急激に脆さが出るチーム。過去のワールドカップで「大本命」と言われながら予想外の敗退を繰り返してきたのもこれが原因だ。また、今大会のように圧勝劇を繰り返した時のニュージーランドは意外に脆い。競り合いに慣れていないのですぐ焦り始めるのである。そのため、南アがニュージーランドを破るにはロー・スコア戦に持っていく必要がある。フォワードで密集戦を繰り返し、ニュージーランドのアタックを早い段階で断ち切るディフェンスができれば南アに勝機が出てくる。PGなりDGなりでジワジワ点を重ねていくのも効果的だ。ニュージーランドは基本的に我慢ができない。焦り始めるとトライで一発逆転を狙おうとするので、プレーが強引になってくる。この「いつもの癖」が出たらニュージーランドは敗れるだろう。他方、南アとしては間違ってもトライ合戦に持ち込んではいけない。南アとニュージーランドの最近の試合は25点前後の攻防となっているので、これが一応の目安になりそうだ。ウェールズ、スコットランドという結果的にラグビー・ユニオンの中でも強国との戦いを経験した南アと、圧勝劇を繰り返したニュージーランドという、これまでの戦いの違いの影響も出てきそうだ。
ニュージーランドは、10番、11番、12番、15番に注目だ。世界最多得点記録を更新中のスタンドオフ・ダンカーター(10番)、オールブラックス史上最強のセンターと言われるノヌー(12番)、今大会トライ王かつ、1大会のトライ新記録のかかるウィング・サヴェア(11番)、世界最高のフルバックと言われる15番ベン・スミス。文字通り世界最高のバックス陣が展開するラグビーはひたすら美しく寧猛だ。相手国のディフェンスをズタズタに引き裂き、奈落の底へ叩き落とす。
南アは総力戦で戦う事になるが、キャプテン・デュプレア(9番)のゲームメイク、ワールドカップ通算最多タイ記録の15トライを挙げているウィング・ブライアン・ハバナ(11番)に注目。両国の「11番対決」は今大会の最大の華となろう。
当日の天気予報はにわか雨とのこと。ボールが滑りやすくなるので、思わぬミスや連携ミスが出やすい。南アの「地上戦」が勝るか、ニュージーランドの「飛び道具」が勝るか。両国のワールドカップでの対戦は過去3回。南アの2勝1敗である。さぁ、待ったなしの頂上決戦!
おめでとう!!