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LRAと厳格な合理性の基準の相違

2012-03-01 13:19:03 | 司法試験関連
同じだと教わったり,同じだと思ってる人が多そうなので,確認です。試験近いし。

両者は字面だけ見ていると似ていますが,全然違うので注意して下さい。LRAは表現の自由が問題となるケースを想定しているので,当該法令に「違憲性の推定」が働いた上での,より制限的でない手段の有無を審査します。

これに対し,厳格な合理性の基準(目的の正当性の審査の外,その目的を達成する為のより緩やかな規制手段があるかどうか立法事実等の検証を通じて具体的・実質的に審査する)の出番は,経済的自由の消極目的規制が問題となるケースなので,当該法令には「合憲性の推定」が働いた上での手段審査になります。

よって,LRAよりは厳格度が落ちる,とされています。最近流行の言葉で言うと,審査密度が異なるのです。なので,別の基準ですから注意しましょう。特に,表現の自由の場面で何の断りもなく厳格な合理性の基準を使うと,専門家からすれば違和感があると思うので,そういう場合は,LRAにしておきましょう。

因みに,LRAでいう「より制限的でない規制方法」というのは,アメリカの連邦最高裁と日本の学説での処理の仕方に違いがある点は,論文突破基礎力完成講義でお話したとおりです。簡単にいうと,規制「対象・範囲」をもう少し狭めても同じ立法目的が達成されるのではないか,という視点で審査するのが連邦最高裁の手法です。日本では,純粋に別の規制「手段の」有無チェックに特化している感がありますが。

なお,明白性の基準と,猿払基準(合理的関連性テスト)も「緩やかな審査基準」というくくりでは似てますが,明白性の基準は,立法府の「広い裁量を前提」とし,ただその裁量権の行使に逸脱があり,著しく不合理である時に限って違憲,とするので,これも精神的自由の領域で使うと誤りなので注意が必要です。
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