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ターゲットは個別に!群馬中央バス事件を例に

2014-02-21 17:41:02 | 司法試験関連

ターゲットは個別に!

群馬中央バス事件(最判昭50.5.29)百選Ⅰ(第5版)[123]

【事案】Xが、運輸大臣(現国土交通大臣)Yに対し、路線延長を目的とした一般乗合旅客自動車運送事業の免許を申請したところ、Yは東京陸運局長に指示して聴聞を行わせ、その後に運輸審議会に諮問した。同審議会は、公聴会を開催して審理したうえ、右申請を却下することが適当である旨の答申をした。Yはこの答申に基づき、Xの申請を却下する処分をした。そこで、Xはかかる却下処分の取消を求める訴えを提起した。

【判旨】「処分行政庁が、諮問機関の決定(答申)を慎重に検討し、これに十分な考慮を払い、特段の合理的な理由のないかぎりこれに反する処分をしないように要求することにより、当該行政処分の客観的な適正妥当と公正を担保することを法が所期しているためであると考えられるから、かかる場合における諮問機関に対する諮問の経由は極めて重大な意義を有するものというべく、したがって、行政処分が諮問を経ないでなされた場合はもちろん、これを経た場合においても、当該諮問機関の審理、決定(答申)の過程に重大な法規違反があることなどによりその決定(答申)自体に法が右諮問機関に対する諮問を経ることを要求した趣旨に反すると認められるような瑕疵があるときは、これを経てなされた処分も違法として取消をまぬがれないこととなるものと解するのが相当である。」

公聴会の審理を要求する趣旨が、……免許の許否に関する運輸審議会の客観性のある適正かつ公正な決定(答申)を保障するにあることにかんがみると、……運輸審議会の公聴会における審理手続もまた、右の趣旨に沿い、その内容において、これらの関係者に対し、決定の基礎となる諸事項に関する諸般の証拠その他の資料と意見を十分に提出してこれを審議会の決定(答申)に反映させることを実質的に可能ならしめるようなものでなければならないと解すべきである。特に免許申請者に対する関係においては、……申請者に意見と証拠を十分に提出させることを可能ならしめるような形で手続を実施することが、公聴会審理を要求する法の趣旨とするところであると解さなければならない。」

「本件公聴会審理がXに主張立証の機会を与えるにつき必ずしも十分でないところがあったことは、これを否定することができない。しかしながら、……仮に運輸審議会が、公聴会審理においてより具体的にXの申請計画の問題点を指摘し、この点に関する意見及び資料の提出を促したとしても、Xにおいて、運輸審議会の認定判断を左右するに足る意見及び資料を追加提出する可能性があったとは認め難いのである。」本件不備は、「結局において前記公聴会審理を要求する法の趣旨に違背する重大な違法とするには足りず、右審理の結果に基づく運輸審議会の決定(答申)自体に瑕疵があるということはできないから、右諮問を経てなされた運輸大臣の本件処分を違法として取り消す理由とはならないものといわなければならない。」      

ターゲットは,「免許申請却下処分」である。取消違法は,「処分」そのものについて要求される。

しかし,公聴会→審議会→国土交通大臣の処分という入れ子構造になっている点に注意!

「瑕疵」があるのは,「公聴会」における「手続」である。処分そのものとは距離がある。

   公聴会における手続の瑕疵が重大

 → 重大な瑕疵ある公聴会に基づく審議会の答申にも瑕疵がある

 → 審議会の答申の本件処分にとっての重大性

 → 処分は取り消されるべきである。

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