飲み会では呟いてはいけない,という規範の有無

2011-07-23 16:36:09 | 雑感
なでしこ代表のツイッター騒動が正直イマイチよく分からない。最初は,選手本人が,内幕暴露的な呟きをして注意されたのかと思いきや,そうではないらしい。飲み会に同席していた学生が飲み会の様子を実況中継的に呟いたのが大騒ぎの元だそうだ。

なんで?って正直思った。かなり大事のようで,在学校の法政大学まで陳謝する始末。違和感を持った一番の理由は,結局何がどう悪いのか,騒ぎの大きさと比較してピンと来ないからである。要は,どのような規範に反したからいけないのか,判然としない。

一番悪いのは,調子乗ってベラベラ喋った選手本人だ。しかも仲の良い顔馴染みと言うだけの面子ではない席で喋れば,ダダ漏れは覚悟しないと駄目だろう。暴露系の話なんて一番話したくなるネタだ。

そもそも飲み会の席で喋った事については,プライバシーの期待は大きくない。ましてや時の人と呑んでいる初対面の素人相手では,絶対他人に喋るに決まっている。だとすると,プライバシー云々の問題では正直無いと思う。

では,何がどう悪いのか。ツイッターだから悪いのか。これが後日,ブログやミクシーの日記に書いたりしたらどうなんだろう。同じように大騒ぎになったのだろうか。今日飲み会でこんなことあった,こんな会話した,なんてのは普通に書くような事だ。書いてはいけないという禁止規範はそこには無い。じゃ,何が悪いのか。またここに戻ってくる。せいぜいがマナー違反くらいではないか。

恐らく,皆で盛り上がっている最中に,こそこそと隠れて呟き続けた「姿勢」が何となくみんな気持ち悪いというか,よくないこと,と直感的に思ったのではないだろうか。自分が同じ事やられたら嫌だな,とか落ち着いて話せないな,みたいな感じだ。

だとすると,制裁の程度が少し大きすぎるような気もする。比例原則違反というやつだ。違法行為を呟いた,日記に書いた,というのは毎度よく問題になるが,これは違法行為が問題視されているので,それなりの騒ぎになるのは止むを得ない気はする。時を同じくして,東大が学生に対し,ツイッターには気をつけるように,というお達しを出してこれまた話題になっているが,きっかけとなった東大生は,飲酒運転を呟き,結果,サークル名やミクシーから身分を特定され,写真まで漏洩したようだ。これはまぁ,そうか,という気もしないではない。

でも今回の「なでしこ事件」は,ちょいと学生さんも調子乗ったのは事実だが,「このネタ,皆に知らせたい!」という気持ちが強かったのだけだと思うので,ここまで社会的制裁を加えるほどのことなのか,と正直感じている次第である。

大体,最近言論に関して異様な締め付けが目立つ。先日千原JrがTVで言っていたが,中川兄弟の漫才ネタで,タクシーの運転手が運転しながら携帯電話をかける,という場面が問題になったそうだ。結局,その件をカットするとネタが成立しないので,テロップで,法律で禁止されています云々を流すことで放送OKになったという話。「そんなんじゃ笑えないわ!」と言っていたが,同感である。そのうち,銀行強盗コントとかも放送禁止になるのだろうか。ディザスター・ムービーも被災経験のある人の気持ちを傷つけるから,全部駄目になるのか。

ちょっと大衆がヒステリックになってきていて,何かあると特定の人間に猛攻撃を加え,社会的に抹殺することが流行りだしているような気がしてならないですね。

そんなに悪いことなんかね,今回の騒動。
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