ゴルフ場で正規の料金を支払って普通にプレーすることが詐欺罪になるか

2014-04-06 13:52:20 | 司法試験関連

身分を隠した暴力団関係者が、ゴルフ場で正規の料金を支払って普通にプレーすることが詐欺罪になるか,という事件がありましが,最高裁の判断が無罪,有罪で割れました。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140402162917.pdf

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140402163450.pdf

上の判例が無罪,したの判例が有罪です。

事実関係もなにも全然知らず,ニュースを見たときに「財産上の損害が認められるかどうかで判断が割れたんだろうな」と思いました。例の西田先生やらの「得ようとして得られなかった利益」云々の話だと思ったのです。

そうしたら,争点になっていたのは「欺網行為と言えるか否か」だったんですね。もちろん,事実関係を見ると,「黙って借りたこと」の当否が問題になり,「暴力団関係者か否か」がゴルフ場にとって「重要な事項」なのかどうかは争点になります。その意味では上記判例は共にありうるなと思うのです(暴力団排除の徹底振りの度合いという意味で両事件は前提が違うので)。

驚いたのは,「損害」認定なく,有罪にしてしまったことです。料金を踏み倒したわけでもないので「損害」の有無は当然問題になります。ちょいと今回分かりにくいのは,通常「金を払ってしまったが,サービスそのものは値段相応・適正なものでした」というような事例で損害の有無が問題になるのですが,今回は,「ゴルフ場を暴力団に利用させてしまった事がどうゴルフ場側にとって何がどう損害となるのか」がイメージしづらいところでしょうか。

「ゴルフ場が暴力団関係者の施設利用を拒絶するのは,利用客の中に暴力団関係者が混在することにより,一般利用客が畏怖するなどして安全,快適なプレー環境が確保できなくなり,利用客の減少につながることや,ゴルフ倶楽部としての信用,格付け等が損なわれることを未然に防止する意図によるもの」という言及部分があるので,「損害はあるのが大前提」と言うことなのかもしれませんが。

詐欺罪は,「嘘ついたから詐欺」というわけではなく,「騙す行為」は、個人の財産侵害に向けられたものでなければなりません。今回仮に「いわゆる騙す行為あり」としても,それはゴルフ場の財産上の損害に向けられたものなのか怪しい感じがしますね。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/sonodahisashi/20140404-00034214/

園田先生の意見が参考になるかと思います↑これについているコメントはかなり痛いのが多いですが 苦笑 

 

Comments (7)
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