第1ターム商法2回目 ネタばれあり

2013-12-01 16:59:58 | 司法試験関連

講義後に質問が出たので捕則します。

①Dは議長選任決議に参加しているが,これは問題にならないのか,②議長選任決議も緊急動議扱いにならないのか,③解任される代取は退室すべきだ,という立場をとる場合,無効事由として自ら退出しなかったAに主張させるのは如何なものか。

①についてですが,Dは「特別利害関係人」にはなりません。代表取締役選任の件においては,自ら立候補した取締役もその決議に参加できるというのと同じ理窟です。つまり,自分がある役職に付くのが会社の為になるというのと,その人個人の私的利害(個人的に役職につきたい)というのが,方向性としては「一致」しているので,解任決議の場合のように,私益の追求と会社の利益が相反する関係に無いからです。そもそも,「立候補者は決議に参加できない」とすると,仮に全員が立候補したときには,全員が特別利害関係人になってしまって,不都合です。

②については,合議体である以上,議長を選任すべきことは性質上当然の事柄だからです(特に今回は議長であるAを解任するので,事の性質上必須事項です)。これは,憲法67条1項でも同じ問題があります。条文上は「この指名は,他の全ての案件に先立って,これを行ふ」とあるのですが,実際には,衆議院議長等の選任議案が先行しています。これは,議会は合議体である以上,議長らの役職者を選任することはある意味当然のことなので,憲法違反なんて言ったりしないのです。

③これはナイスな指摘です。確かにこの立場をとると(審議に参加するどころか,その場にいること自体が望ましくないという立場。アメリカでは,CEO解任は本人がいないところで行われることも多い),Aがその場に居残った以上,決議には瑕疵が生じています。しかし,これを居残った本人のAに主張させるのは「図々しい」ですよね。この点の指摘はしないといけないでしょう。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする