最近の流行は,「著名判例との比較問題(射程問題)」である。この手の問題を処理する上での勘所は,「判例の理由付け」が本事例で「全て当てはまるのか」どうか,「事案部分に違いが無いか」,である。そういう意味で,行政法の出題パターンに似ていると言える。過去においても第3回で同じパターンが出ている。今年の問題はその典型である。
他の民訴(商法でもありうる)パターンは,「条文上(または判例の規範)の要件には該当しないが,その形式的な結論は本件では妥当ではないので,類推適用できませんかね?」系である。民事系の場合,「類推適用パターン」は多いし,許容性もある(刑事系でやるのははマズイが)。第1回民訴が典型パターンである(民訴法152条2項の類推適用の可否)。第6回設問3もこのパターン(判例問題)。もっとも,この手の問題に対応する大前提は「条文検索能力」があることである。そもそも条文・制度が見つからなければ,「それでは具合悪い」も何もないので先に進まない。
あとは「制度趣旨」から例外を認められないか,を問うパターン。第4回の最後の問題が典型だ。実は「期待可能性」については,重点講義にも書いてある論点だが,仮に知らなくても,制度趣旨から例外は認められないかという思考をして,事実を当てはめればいい問題である。当たり前だが,制度趣旨が正確に「理解・記憶」されていなければお話にならない。
過去問題の「解析」と言うのは,こういうことをしないと意味がない。「どの論点が出た」なんてどうでもいい話である。