印象に強く残るべく(残らないと困る),あえてかなりきつい語調で「解説」を加えるのが吉野コメントの通例である。印象に強く残れば何でもよい。むかつこうがなんだろうが構わない。重要なのは,「印象に残り,すべきことを実践すること」に尽きる。
さて,採点実感等を読む際に,一番重要なことは,「ご法度集」として読む,という意識である。司法試験のようにやたら難しい試験では,点を取りに行こうとか,攻めて行こうとするのは往々にして「(致命的な)作戦ミス」となることが多い。大体,平均点で全科目揃えれば合格できる試験なので,まずは「へこまないこと」が重要である。では何をすると凹むのか,というと,試験委員が「むかついている」「いらついている」ことをすると激しく凹むのである。したがって採点実感等で一番重要なポイントは,試験委員が「激怒しているところ」「呆れているところ」である。この部分はそのまま「べからず集」であり「ご法度集」になるのである。
やってはいけないことは絶対やらず,特殊性に気が付いたら気が付いたことだけでも示す。また,民事系などでは解釈論で攻められるときは攻めてみる。事実評価で攻められるときも攻める。これぞまさしく「攻めるディフェンス」である。マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズ黄金時代に,ブルズは「攻めるディフェンスをするチーム」と呼ばれていたことも知っておこう。一見派手な「ハイパー・オフェンス」チームは,往々にしてゴール前のどこかで派手にこけるものである。要は安定感がない。オフェンスに不調はあっても,ディフェンスに不調はない。
司法試験で受かりやすいタイプは,「ダルビッシュ」タイプであり,落ちやすいのは「松坂」タイプである。防御率が悪い投手は駄目である。重要なのは安定感であり,失点をしないことである。
因みに,「やってはいけないこと」から派生して,「攻めのポイント」につながるのである。