1票の価値~高裁Round~

2010-03-12 15:23:42 | 雑感
第1戦 違憲    @大阪
第2戦 違憲    @広島
第3戦 違憲状態 @東京
第4戦 違憲状態 @福岡(那覇支部)
第5戦 合憲    @東京
第6戦 違憲    @福岡
5勝1敗。

東京高裁の腰の引け振りがやや気になります(笑)やはり最高裁裁判官15人のうちの裁判官枠に一番近いポジションの人が多いので,つい上を向ふがふが。・。・。自主規制。
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タイムボカン,1500人時代へGO!?(補綴)

2010-03-12 12:10:40 | 司法試験関連
すったもんだの挙句,日弁連の新しい会長が決まりました。受験生的にどうしても気になるのは,新会長が掲げる「合格者数1500人政策」でしょう。

私が受験生の時にも似たようなことがありました。やはり気になって仕方がないところです。合格発表という蓋を開けてみないとその年の合格者数の目安さえ分からないという珍妙な「競争試験」なので尚更不安になります。

問題は,「1500人が適正規模」である,という主張の論拠でしょう。正直,人数だけの主張が乱れ飛び,その数字の根拠が示されていないのはいただけません。論文の答案なら不合格答案です。

読売新聞等の論調もそうなんですが,法曹の質低下云々は説得力がなく,一般には「既得特権の確保」と受け止められていることを日弁連は真摯に受け止めるべきだと思います。
合格者数削減と言う主張を強く推し進めるのならば,①何故「1500人」だと適正なのか,②法曹の質の低下を示す具体的なデータは何なのか,この2点の具体的な説明をすべきだと思います。

法曹の質の低下と言う主張の根拠はあるのか。何をもって「質」といい,どのような変化をもって「低下」と評価しているのか,事実関係が全く出てきていません。出てきているのは現役弁護士の「最近は質の低下が見られる」という主観的な意見だけです。

少なくとも,「こうこうこういう事例があった,増えた」ということを示した上で,「だから自分は最近の法曹は質が低下していると思う。そしてそれは新司法試験合格組だけにみられる現象なので,2000人は多すぎると思う」程度の主張はして欲しいものだし,すべきであると考えます。

以前も書きましたが,2回試験の不合格者数が増えていることを質の低下の論拠にするのは間違っています。不合格であれば,法曹にはなれませんから彼らのせいで法曹の質が下がることはありえません。100人の不合格者がでるような母集団のレベルは全体的に低いという推認ができる,ということなのでしょうか。しかしそれもおかしな話です。

何故ならば,最高裁が2回試験を適切に運営している限り,最高裁のお墨付きがある人だけが法曹デビューをするわけです。もし問題があれば最高裁の2回試験の運営の仕方に問題があるということになるはずで,日弁連はそこをまず指摘すべきですが,そういう指摘は見られません。最高裁自身も,判定基準は変えていないと発表しています。だとすれば認定基準を緩和していない結果,100人程度が不合格になっているだけということになります。逆に不合格者数の絶対数が増えているのは健全な証拠です。2回試験受験者数は増えているのに不合格者数が以前と変わらない方が怪しい話です。むしろこのような場合にこそ認定基準を緩和しているのではないか,という推認が働きます。しかし現に不合格者の絶対数は増えているのですから,適切に排除する運営がなされているとみるべきです。
したがって,基準は変えずに合否認定をしている以上,母集団のレベルに応じて毎回2回試験不合格者数が変動することにはなりますが,現に第1回・第2回・第3回合格組で不合格者数と割合に変動が見られています。毎年一定数に固定されているわけではありません。ですから,毎年晴れて2回試験をクリアーした人たちには問題がないということになりますし,不合格者数が増えたから,母集団「全体に」問題があるという見方はできないと思います。問題がある部分をはじいた結果が毎年の不合格者数になっているだけだからです。2回試験の不合格者が多い云々は,法曹の質の低下を根拠付けることは無いと思います。

また質の低下が認められた場合でも,では合格者数は何人規模が適正なのか,という議論が必要です。新会長は,何故「1500人」なのか,今すぐ具体的な説明をすべきです。1500人にすれば,全て解決すると考えているのでしょうか。1500人だと問題がないと考える根拠が必要です。単に,旧司法試験の合格者数が1500人だったから,というだけの理由な気がしますがどうでしょう。昔も1500だったんだから我慢してくれよ,と地方の反乱を抑えられるから,というのが本音なのではと勘繰りたくなります。恐らく1500人にしても,例えば新人弁護士の就職難が改善されなければ,いずれ1200人にすべきだ,とか言い出すのが目に見えています。その次は1000人でしょうか。

別のうがった見方(笑)もできます。法務省も本音は3000は無理,と思っていると思います。しかしながら裁判員制度やら制度改革の錦の旗は降ろせません。さてどうしよう,という時期だと思います。法務省は2000人ラインで着地を狙っているような気がします。議論としては「3000人の是非」なんですが,日弁連会長の思惑は,実際には既に2000人でも多い,なわけです。気をつけたいのは,3000人増員の是非,という議論をしているように見えますが,実際には2000人ラインの是非が争点となっているという点を見抜かなければならない,という点です。日弁連会長サイドは,2000人を1人でも多く割り込ませたいのが本音でしょう。しかし法務省も面子がありますから,「へぃ,合点承知の助!」とばかりに減らしてはくれません。そこで日弁連としては,時間を元に戻す「1500人」という「受け入れがたい」数字を最初にぶちかましておきます。法務省は当然そんな数字は受け入れられない。かといって減らさないわけにもいかない。ほいじゃ間を取って1700~1800あたりで手を打つ,という筋書きです。2000人より減らしたけど,1500人時代よりは法曹増員路線を維持したことにはなります。正に「大人じゃーん」な筋書きですが,ありうる展開だと思います。

最後に日弁連をかばうとすれば,やはり裁判官と検察官があんまり増えていない,という点です。これは確かにひどい。裁判官,検察官の数が足りないから事件処理が遅くなっている,10年裁判なんてやってる場合じゃない,というところが増員路線の元もとのきっかけです。しかし毎年せいぜい各100人程度しか任官・任検はされていないのが実情です。財務省から予算ぶん取って,各200~300人くらい確保しないとあかんやろーと思います。

どうでもいいけど,試験直前にこういう議論をするのはせめて止めて欲しいです。

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