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60年代後半に注目された異色の名ピアニスト

2009-01-08 04:19:22 | jazz & vocal
Live At the Trident/Denny Zeitlin
(Columbia CS9263)


 60年代後半というのはジャズシーンは混沌を極め、マイルスは69年のビッチェズブリューに向けて電化サウンドを駆使しロックとの融合を模索したし、トレーンは神になって行きました。フリージャズが横行し、聴衆はライブでジャズを楽しむ事が困難を極めた時代でもあります。この時代、登場して来たのがザイトリンです。彼もスタジオでは難解なサウンドを模索していたようにも思うのですが、ライブでは聴衆あってのジャズを実践するかのようなアルバムも残しています。カリフォルニア、サンフランシスコの金門橋を挟んだ対岸サウサリートは風光明媚な街ですがここのTridentで行われたライブアルバムをアップしてみます。

 カバーの風貌をみると、一見してただ者じゃない、彼は精神科医、それもこの業界では泣く子も黙るボルチモアの名門ジョンズホプキンス大学出身という事ですよね。カリフォルニア大学でインターンをしながら、クラブに出演していたと言います。ここではレギュラートリオのCharlie Haden(b), Jerry Granelli(ds)のトリオによる演奏です。A面はザイトリンの紹介に続いて始まるRollinsの"St .Thomas"で始まります。Granelliのラテンリズムに乗ったオープニングにふさわしい快演です。A-3の客のリクエストに応えたという、ブルース"Spur Of he Moment"のHadenのウォーキングも印象的ですね。足を踏み鳴らしてのザイトリンも好演ですね。Aラスのオーネットの"Lonely Woman"も元々オーネットのグループでプレイしたHadenのプレイがいいですね。B面ではスタンダードの"My Shining Hour"や"What Is This Thing Called Love"が選ばれているのも聴衆への配慮だと思います。のちにBill Evansが好んでプレイしたB-3"Quiet Now"はザイトリンの中でも特に美しいバラードで注目ですよね。

 所有盤はコロンビア2eyeのステレオ盤です。アルファベット順に並んでいる自分のライブラリの最後に鎮座するのがこのザイトリンです。当時のライブの雰囲気が伝わる録音で、ザイトリンの中でも最も聴きやすいアルバムではないかと思います。


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