白人ボーカルはハスキーじゃないとネ！

'Round Midnight/Dee Lawson
(ROULETTE R-52017)

　白人ボーカルではケントンガールズがやっぱり人気が高いですよね。中でもクリス・コナーとジューン・クリスティはそのハスキーボイスで聴衆を魅了したであろうことは疑いのないところです。パッと聴いた感じではこの2人の中間のような声質を持ったシンガーが本日の主役Dee Lawsonです。ロングアイランド出身のこのハスキーボイスが自分が渉猟し得た範囲では唯一とおぼしきデビューアルバムをルーレットに録音しています。一度聴いたら，このジューン風のボーカルは耳に残るでしょうし，Mia Carpenterの美しいイラストカバーとともに印象深くリスナーに捉えられること間違いなしです。本日はこのディーのアルバムをアップしますね。

　伴奏は、Steve Uliano(p), Eddie Safranski(b), Howard Collins(g), Willie Rodriguez(ds), Don Lomond(ds, vib), Al Klink(ts), Doc Severinsen(tp), Jimmy Cleveland(tb), Artie Baker(bcl)からなるコンボでボントロのClevelandとドラムのRodriguezを除くとほとんどが無名のプレイヤーですがこのコンボの粋なバッキングも忘れることができない好演です。A-1のタイトル曲'Round Midnightでのゆっくり出るハスキーな歌唱にいきなりノックアウトされる方も多いと思います。Severinsenのラッパのオブリガートも素晴らしい雰囲気です。他にA面ではNKCで有名な"UNFORGETTABLE ", ピアノのUlianoとギターのCollinsが活躍する"IN OTHER WORDS",意表を付くテンポの "BEWITCHED"，B面に移ってミディアムスウィングの"YOU STEPPED OUT OF A DREAM", サトルなリズムが気持ち良い"MOUNTAIN GREENERY"等の選曲の見事さも最高です。

　マイナーなボーカルアルバムですが、なかなかいい出来の好盤です。ルーレットの白地，マルチカラーバーがクロスするラベルのモノラル盤、おそらくオリジナルと思います。