私のつれづれ草子

書き手はいささかネガティブです。
夢や希望、癒し、活力を求められる方の深入りはお薦めしません。

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2022-11-02 | 7追憶する
薫くんが帰ってきたテレビドラマ「相棒」を久しぶりに見る。
やっぱり薫くんのいるストーリィが良い。
今回事件の中心にいるのは、空っぽの心を抱えた資産家のおじさん。
資産家とは遠く隔たっているが、その心持ちには共感できる点が多々あった。
殺人事件周辺の物語だが、余り毒々しくない短編小説の味わいなのが良い。

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頼りない心を占める単語だ。
最近、それを考えるテーマに直面した。
宗教だ。

家の墓地がある寺で資金を必要とする案件が発生し、広く寄付を募る事となった。
結構な額が必要とされており、入念に準備された手順で寺側はそれを要請する。

このご時世に期待されている額は決して少ないものではなく、税金と異なりそれらは各人の懐具合に応じて拠出されるものであったが、あれよあれよと寄付金は積み上げられ目標額を達成した。
想定外の有難い状況を報告する寺からの書面を眺めながら、宗教とはとつくづく考えた。

中には資産家もおられる訳だが、明らかに余裕がなかろう人も精一杯応じようとする。
クリーンな尊い金だ。
どんな心持でそれぞれ拠出に応じられたのか。
私はある種の義務感をもって応じた。
決して積極的でない訳だが、全体を眺めるとそれらは私のように義務感だけで行われている訳ではない。

先月より我が国を揺るがせている某宗教団体。
同級生に信者がいて、かれこれ30年前になるがしきりに電話がかかってきた。
「絵の展示会があるんだけど…」
「着物の内覧会があるの…」
「宝石に興味はない?」
電話の度にお誘いの内容が異なる。
「一体どういう催しなのか」
「何故一貫性がないのか」
問い詰めて、某宗教団体の催しであると彼女は白状した。

大変真面目な人で、決して悪事に加担する人柄ではなかった。
若干、優柔不断な点がなくはなかったが。
家庭の不和が原因で、頼るようになった宗教であったという。

当時から既に問題のある団体だと承知していたので、はっきりとお断りしたのであるが、引っ越すまで年賀状は毎年欠かさず届いていた。
その彼女から、私の友人もやはりお誘いを受けていたという。
この度の事件の報道で「彼女は信者だったよね」と友人と初めて話し、お互いに誘いの連絡があった事を知る。
友人もめっぽう真面目なタイプである。
私も真面目な人間であるつもりだ。
友人も私も誘いに応じる事なく、深く関わらなかった事を幸いに思う。
信者となっていた彼女は、無事でいるだろうか。
私ももし誘いに応じていれば、全く異なる状況に生きていたかもしれない。

信仰を持たない私には、到底推し量る事の出来ないものであるのだろう。
世の中の理の中で、最も高い位置に置かれているのは宗教。
哲学よりも更に上、宗教が最高位のインテリジェンスであると学んだことだけを思い出している。
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