私のつれづれ草子

書き手はいささかネガティブです。
夢や希望、癒し、活力を求められる方の深入りはお薦めしません。

大和ミュージアム

2008-11-16 | 5考える
今日は朝からとても美しい日だった。

急に思い立ち、友人と広島県呉市の大和ミュージアムへ行ってみた。

一時の大和ブームは一段落したはずだが、駐車場には様々な県のナンバーが揃いぶみ。博物館内も人であふれている。

テーマが他の地で掲げえないものだということもあるだろうが、個性的で、本当に博物館らしい博物館を久々に訪れた…と満足感を覚えた。

印象的だったのは、男性客が多いこと。
年齢層も幅広く、観光地には珍しく、女性客の数を圧倒していた。

また、ボランティアガイドさんの活き活きとされた様子が記憶に残った。

どの方も、定年退職されて何年か過ごされた年齢の男性だったが、味のある語り口で、お一人お一人説明を聞き比べてみたいような気持にさえなった。

戦艦大和の1/10モデルをセンターに置き、過去から未来へつなげていく構成になっていたが、死に急がなくてはならなかった数千人の命という現実に比べて、某アニメ作家さんのイメージから描かれている未来は、歴史の現実に圧倒され、精彩を欠く。

肯定的可能性がほとんど望めない大和の航海は戦争終結前の悲しみの集積だ。
いくつもの遺書を見たが、たくさんの知性と良心、そして愛情が海の底に沈んだのだ。

一人一人の温かい人間性で、時の流れは止められなかった。

昭和恐慌に始まる日本の歩みを巻き戻すことができたなら、もっとより良い結末に至るシナリオを描くことができるのだろうか。
より良い結末にいたる為のシナリオは、どんな筋書きであれば良かったのか。

語ること、考えることを知らず知らず避けてきた領域。

しかし、道路ひとつ挟んで、海上自衛隊による設置らしい現代の博物館…鉄のクジラ館で、敗戦の結果として日本の海上自衛隊が置かれた現実を垣間見るとき、平成恐慌と名づけられそうな不況の気配を感じながら、悲劇にならない筋書きを想わずにはいられなかった。
コメント
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