今週、20年以上前から営業されているイタリアレストランのランチを食べに出掛けた。
昔は、リーズナブルな価格であるにも関わらず、鮮度の良いカルパッチョや肉料理の並んだ前菜に始まり、デザートプレートまで満足のゆく内容で驚愕したものだったが。
少しずつ材料のグレードが下がり、反比例してセット価格は上昇。
当初より5割増しの価格設定で、ランチの内容は3割強でダウンしている。
継続して欲しいお店であって、このご時世では致し方ないのであろうけれど、客足が減ることなく繁盛している割に、劣化が激しく感じられるのは悲しい現実であった。
世の中は、インフレ基調。
私の関わる事業体でも、政府の進める通りベースアップが行われた。
この2年で10%近いベースアップが実現。
事業者は大変であろうとぼんやり考えてはいたが、経営サイドが人件費の大幅増に手をこまねいている訳がない。
価格転嫁が容易に出来る状況ではなく、利益減少原因となっている人件費増加に対し、人件費圧縮の対策を講じる必要がある訳だ。
まるで禅問答のような論理展開だが、現実だ。
食品メーカーが値上げせず、内容量を減少させて価格維持する実質値上げ対応のように、事業所は労働単価上昇分を、労働時間の減少によって補おうとしている。
時短による人件費抑制だ。
その意向はすぐ伝わり、忖度する人々によって縮小圧力となって実現される。
居心地が悪い。そしてテンションが下がる。
そんな風に維持されてきた、わが国の社会だと思う。