自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

告 白(双葉社)~湊かなえ さん

2009-01-13 | 
愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたからです。

新人作家のデビュー作が、全国のミステリー通書店員が選ぶ「2008ミステリーベスト10」の国内部門の1位になってしまったのが、この「告白」です。

6章だての第1章「聖職者」は短編として発表され、「小説推理新人賞」を受賞。その後、2・3章を連作、4・5・6章は単行本にした際の書き下ろしです。

ある中学校の教室、学年終業式の日に担任の女性教師が学校を去ることを話します。

彼女はこの1年の間に、どうしても学校に連れてくるしかなかった日に、幼い1人娘を学校のプールで亡くします。公には事故として処理されましたが、このクラスの生徒に殺されたこと、そしてその犯人2人に復讐の矢をすでに放ったことを告白します。

たとえ殺人と分かっても、少年法によって少年たちは守られてしまうからです。

章を追うごとに、告白者が代わります。2人の犯人のうち実際に手を下してしまった少年、幼なじみの少女、少年の姉、少年に殺されたため告白はできなかったけれど母親が残した日記、首謀者の少年・・・。

告白はとても説明的で、読者があれこれ推理する必要もなく、すいすい読めます
ページをめくる手は止まらず、ぐんぐん読めます

少年たちを守る大人がまったくいないわけではありません。ただそちら側の人間が間が抜けた人間のように感じてしまいます。でも、誰かをしっかり愛し、守ろうとした人間がいるということは救いです。

後戻りも、しょく罪へも向かわない、破壊的な最終章は別な展開があってもよかったと思いました。
・・・が、その突拍子もないラストが、な~んだ、これはやっぱり物語だったんだと、妙に安心させてくれます。




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