佐野洋子さんが亡くなったのは2010年、72歳でした。
佐野さんと読書スタイルが一緒で・・・、といっても本を寝っ転がって読む^^という、まさに読み方が同じで、勝手に親近感をもっていましたが、新しい著作は、もう生まれようがありませんでした。
でも、この本は今年出版されたもの。
【あ】のアイスクリームから、【わ】のわたしのぼうし まで、
洋子さんの絵本、童話、エッセイなど全作品から食べることについての記述を抜き出してまとめられています。
辞書のように見出し語が並んでいます。
あれっ? わたしのぼうしって?
そう、雨、石、新聞紙、セーター、たばこ、へびのぬけがら・・・
食べ物がたくさん登場してくるのはもちろんのこと、それ以外でも口に入れたものがいっぱい抜き出されています。
しゃがんでいる前に、まるいひらべったい石があったので拾いました。スカートでこすって泥をとって、手でぎゅっとにぎってまた手をはなすと、汗ですこし黒くなっているので、それを手でこすりました。すこし光りました。それから鼻にくっつけました。おでこにもつけました。どんどん光ってきました。
すこしなめてみました。ちょっとだけしょっぱい。
「なに食ってんだ」
ときゅうにおとうさんの声がしたので、わたしはびっくりしました。
この本のタイトルは【石】をなめた『あの庭の扉をあけたとき』から生まれたようです。
【涙でぐしゃぐしゃの顔の息子】という項目に書かれている息子の広瀬弦さんが洋子さんの料理を再現し、またふんだんに挿入されている写真がきれい、そしておいしそうです。