神戸市立小磯記念美術館で堀江優(ほりえまさる) 遺作展を観てきました。
会期は7月15日まで、相変わらずギリギリセーフの鑑賞でした。
堀江優は1933(昭和8)年神戸生まれ。神戸で学び、神戸で教職に就きました。
その一方で『聖書』の中の「人間の弱さ」を持つ人物に関心をいだいて、制作活動を続けてきました。
亡くなったのは今年(2013年)の1月です。
堀江優の作品を常設展示する美術館もあるそうですが、私は今回の展覧会が初めてに等しい堀江優との出会いでした。
会期途中で展示替えがあって、私が鑑賞できたのは80点ほどでしたが、全期間では約100点が展示され、大きな規模の回顧展だったようです。
テーマを聖書と決めてから、初期の作品は処分したそうで、会場に風景画は1点だけでした。
堀江さんの水彩画は和紙に絵具を重ね、洗い流すという制作工程をとっていて、まるで油絵のような、厚みとでこぼこがありました。
特徴ある人物の顔は研究会での師がモデルだそうで、始めのうちはキリストは後姿で登場します。
また人物の細い手足は小学校での授業中、おとなしい女の子が描いていた細い手足を見て真似たそうなのです。
写実ではなく、デフォルメされています。教え子たちを見つめ、個性を尊重できる教師だったんですね。
普段よく目にする聖画は一定のスタイルがあるような気がするのですが、堀江さんの聖画は構図がとても大胆でおもしろいです。
子どものための鑑賞ガイドの表紙に使われている〈ペテロ〉130.3×162.1cmは水彩画家として初めて安井賞を受賞した作品です。