「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

《マシュメガネ対談》「辛口Live言いたい放題!」(ブルース・スプリングスティーン97年来日公演)

2020-02-06 12:42:00 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

{編集長:Mash}

いやあ堂々と新企画をスタートさせたワケだけど、簡単にこの企画を紹介したいのよ。

〈ハウリンメガネ〉

そりゃそうでしょう。読んでる方に分からないといけない。

{編集長}

まあ俺たちRockはもちろん、色々な音楽を聴いて来て、自分たちのプレイにソイツを取り込んでいるわけで…その中でもやっぱり「Live音源やLive映像って、大変タメになった!」と思うんだよね。

〈メガネ〉

先代のプレイが有っての私たちですからねえ。

{編集長}

ソーいうこと!だからプレイヤーにも役立って、なおかつ作品としてリスナーさんも喜べる!そんな「Live系のブツ」を君と一緒に紹介していこうと思ってね。2つの視点で語らられた方が丁寧だろ?

〈メガネ〉

で、今回のお題がボス(ブルース・スプリングスティーン)の97年ソロアコースティック来日公演のブート、それも四日間やったやつ全部(笑)、と。

{編集長}

そう!今も巷で「弾き語りミュージシャン」ってホント多いだろ?だから、「弾き語りの奥深さ」みたいな部分をボスから教えて頂こう!って感じだね。

〈メガネ〉

これが収録されたのが97年だから、私は中学……1年生か。この頃だと、私、まだエレキは手に入れてないですね。親父のお下がりのガットギターで一生懸命クリームの「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ」を練習してた頃ですよ。「歪んだ音が出ねぇ」って思いながらね(笑)。

{編集長}

中1か!若けえなぁ!俺は全公演観に行ってるんだけれど、ホラ、この音源でも俺の歓声や掛け声が聴こえるだろ?過剰反応しているヤツ!アレが俺。

〈メガネ〉

あっ、やっぱり?(笑) 声似てるなぁとは思ってたんですが、ちゃっかりブート出演してるのね。4公演とも行ってたわけですか!

{編集長}

このずっと前に「Gold Wax」でボスを書いていたし、俺にとってボスは「ちょいと上のイカすお兄さん」的存在でね。凄く好きで影響も受けたんだ。

〈メガネ〉

私なんかスプリングスティーンのスの字も知らない頃じゃないかな…。ボスをちゃんと聴いたのは多分高校入るか入らんかぐらいで「ボーン・イン・ザ・USA」を聴いた気がする……でもそれも曲名だけ知ってて「名前がブルースってんだからブルージーに違いあるまい」って思い込みで買った気がするなぁ。結果的によかったんだけど(笑)。

{編集長}

俺はそれこそダイレクトに「ネブラスカ」や「USA」を幼少期に聴いていたからね。ただ俺が本当にボスにKOされたのって「The Live」というレコード5枚組のヤツ!アレが強烈だったよ!俺がテレキャスに憧れ、使い続けているのもキースよりもボスの影響の方が強いな。

〈メガネ〉

いづれにせよLiveに強い人!ってイメージです。ところでこのツアー時に出た「ゴースト・オブ・トム・ジョード」はね、レイジ(アゲインスト・ザ・マシーン)がカバーしてるんですよ。トム・モレロはボスのライブにゲスト参加して「ゴースト〜」を弾いたりしてますよね。で、彼らのアレンジは原曲と全く違うって聞いたから、原曲を聴こうと思って後追いでアルバム買って、聴いた覚えもあるけど……正直言って記憶が薄い……

{編集長}

イイ作品だぞ!

〈メガネ〉

(笑) あなたには悪いけど私、ボスのスタジオ盤って大して思い入れ無いんですよ。「いいアメリカンロック」以上の印象がないんです。歌詞はまた別なんだけど…だって、ダイレクトな問題提起をここまで詩的にやれるのはボスしかいないでしょ。ボブとかジョンともまた違うしさ。でも、このアルバムはアコースティック主体だし、レイジ的な音を聴きたかった俺にはまだ早かったんですよねぇ……

{編集長}

ふーん

〈メガネ〉

ホラ、またそうやって不貞腐れる!

{編集長}

別に不貞腐れちゃいないよ。でも、さっき言った5枚組のLive盤はそれこそ俺が中1の頃に出たんだけれど、オープニングにピアノだけで歌われる「サンダーロード」が全てだったけどなぁ。

〈メガネ〉

まあまあ。あなたの「ボスは凄いぞ!」って言葉は嫌になるほど聞いて…

{編集長}

嫌になるなよ!

〈メガネ〉

確かにピンとこなかったんだけど、このブートCDでやっとわかった。俺はこう思ったんですね。「この人は損してる!」と!ボスの本領はやっぱりライブなんだね。こりゃ、実際に観るか、こうやって聴かんと分からんよ。ソフトな曲でもハードな曲でもオリジナルアルバムより、こっちの方が断然いいもの。特にこのブートはゴーストからの曲はほぼ全部やってるから!まあ、全公演4日分を網羅せにゃいかんけど(笑)、とにかくなんでこのノリでオリジナルに収録せんかったのか?って思うんですね。

{編集長}

分かってヨロシイ!

〈メガネ〉

この音源が面白かったからYouTubeでEストリートとやってる若い頃の動画も見てみたんですよ。78年の映像。「プローブ・イット・オールナイト」のイントロでボスがギターソロ弾いてるんだけど、むちゃくちゃギター上手いじゃない?リードギターとかクラプトンよりエモーショナルよ?「この人こんな上手かったんだ!?」ってびっくりしちゃった(笑)。

{編集長}

落ち着きたまえ!

〈メガネ〉

あとね、俺、この音源を聴いててマイケル・ヘッジスを思い出したんだよね。これ、ボス一人でしょ?だけど、多分ボディヒット入れてんだと思うんだけど、キックみたいなビートも聴こえるし、ギターのフレーズもバリエーション豊かだし、あと、一番凄いのはギターでのダイナミズムの付け方!小さな音からバチーン!とした音まで使い分けることで、一人でも一切単調さのないライブを演れてる。しかもその上で、歌ってハーモニカも吹くっちゅうさ。ハーモニカも上手いし(笑)。ある意味、俺の到達したいところをはっきり魅せてくれてる。「これ演りゃいいんじゃん!」っていう。弾き語りやる人間にはホント、教科書みたいなLiveだよ、これ。一人で演る、魅せる為のお手本が全部入ってる。

{編集長}

最初に言ったでしょ?弾き語りミュージシャンって日本でも物凄く多いのに、みんなジャンジャカ、ジャンジャカってストロークばかりで同じじゃない…残念だし勿体ない!って思う。ギターってもっと可能性ある楽器でしょ?実に勿体ない!

〈メガネ〉

このLive音源の収録が97年の1月末じゃないですか!んで、今、まあ、これが載るころには2月入ってるけど、このブートがあなたから届いたのが20年の1月末だ。だからあなたの言うとおり、23年の時を経て!(笑)日付を合わせて聴いてみたんですよ。

{編集長}

そう!それが気になったのよ!で、どうだった?

〈メガネ〉

あのね……面白いね(笑)!家に帰るだけなんだけど、ライブ行く気分になるんだよ(笑)。しかも、27、29、30、31日で一日間が空くじゃない?28日にね、妄想が膨らむのよ(笑)!

「一日間が空いたということはボスは観光ぐらいできたか?……ちょっとリラックスした感じになったりするのかな?いや、しっかり休養をとった上でさらに全開で来るかもしれん……!」って(笑)。

{編集長}

実は俺も同じ様に聴いてみたけれど、俺の場合観た思い出が邪魔をしてね。例えば一緒に行った当時の彼女や友人。この友人なんて途中でしっかりと寝てたからね!(笑)

〈メガネ〉

結論から言っちゃうと私としては初日の27日がベスト!ですな。この日が一番ロックしてると思う。二日目以降はちょっとずつリラックス感が出てきて、ボスの笑い声も日に日に増えていくんだけど、俺の中の「ブルース・スプリングスティーン」のイメージに一番近いのは初日の感じなんだよね。

{編集長}

ふむ。例えば?

〈メガネ〉

2曲目の「アトランティック・シティ」とか5曲目の「ダークネス・オン・ザ・エッジ・オブ・タウン」で一気に会場にブーストがかかる感じとかホント凄いし、6曲目の「ジョニー99」のイントロ前の汽車が来るような音とか完全にブルースマンの出す音だと思うんですよ!13曲目の「スペア・パーツ」のスライドもちょっとびっくりしたんですよね。だってライ・クーダーみたいなプレイしてるんだもん。この人、実はものすごーく過小評価されてるギタリストなんじゃないですかね?(笑)

「ボーン・イン・ザ・USA」は、あのサビの「ボーン!インザUSA!」が全く入らずにスライドであのサビを表現してるのにも驚いたなぁ。しかもそっちの方が俺としてはしっくりくるんですよ。もちろんあのオリジナルあってこそのアレンジなんだろうけど、曲のテーマ的にはこのツアーのアレンジが正解な気がするんですよね……

あと、後半、「ボビー・ジーン」から始まるアンコールのエモーショナルさは凄いですよね。最後の曲の「プロミスドランド」の静謐な世界から最後のギターの「パァァァンッ!」て音でパーフェクトにしめるところとか最高!

{編集長}

色々深く聴いて来たね!

〈メガネ〉

当たり前でしょ!あとこの日が一番音がいい気がするんですね。声もギターも抜群に太くて抜けてくるし、細かいところも聴き取れる。アナログでいうならラウドカットみたいな。もちろんアナログ派としては「CD?バカ抜かせ!アナログじゃあ!」と言い切りたいところだけど、こういうふうにCDでも太い音の作品もあるってことですよねぇ……全く沼が深い……(苦笑)。

{編集長}

テーパーによる隠し録りの場所にもよるけれど、確かに初日の音はイイね!臨場感も含め。

〈メガネ〉

二日目になるとさっきも言ったとおり、リラックス感がちょっと出てくるんですよね。日本語のMCが増えたりして、ボスがみんなを楽しませよう!って頑張って覚えてくれたりしたのかしら(笑)?

{編集長}

行った人間から言えば、やっぱり初日は盛り上がりに欠け、会場の緊張感が高過ぎたから、和ませに行ったのが以降のLiveだと思うね。

〈メガネ〉

初日も言ってるけど「レッド・ヘッデッド・ウーマン」の前に「コノウタハオトコトオンナノセクスノウタデス……トテモムズカシイ……笑」って毎回入れるでしょ?なんかね……この人はいい人だなぁ(笑)って思いますよね(笑)。でも基本的に「コノウタハコウイウウタデス」ってMCなところにボスの人柄が出てると思うんですよね。ちゃんと伝えようとしてるっていうか。2日目は割と初日のテンションとリラックス感がないまぜになってる感じなんだけど、3日目と4日目は会場を完全に自分のスペースに出来ている感じですよね。

{編集長}

実はこの日本ツアー時に会場でトムジュードの全曲訳が配られたんだよ。(最後の写真参照) だから「歌詞を分かって!」という思いもボス側にはあったんだよ!

〈メガネ〉

なるほど。3日目は全体を通して凄く安定して聴こえる。静かな曲に関しては3日目の方がいいっていう人もいるだろうけど…「アトランティック・シティ」とか激しめの曲がちょっとしっとりしてて……うーんでも、やっぱり俺は初日が好きだな……あ!でも「トゥー・ハーツ」は3日目が抜群にイイ(笑)!

{編集長}

ここまではボスも三戦して来たワケで集中していたと思う。でも会場は有楽町…東京国際フォーラムだったから、イスも良くてね。ホント、ぐっすりお休みしている人が沢山居たのよ…緊張感が高いからお客にとっては疲れるLiveでもあったんだね。お客にとって「ストレス発散型Live」では無いから…。ボス好きの俺でさえ連投で疲労感あったよ。もちろんコレは会場の水を打ったような緊張感によるものだけれどね。特に最終日は…。

〈メガネ〉

それでかなぁ?4日目はね、ごめんなさい。あんまりこれ!ってのがなかったんです……もちろんこの日にしかやってない曲、「マーダー・インコーポレーテッド」とか、「ハイウェイ・パトロールマン」とか、「ガルベストン・ベイ」とかはこの日しか聴けないんだけど、なんかね……ちょっと物足りない感が……なんでだろう?

{編集長}

さっきも言った様に、会場の空気がこの日も変わらずに重かったから、ボスも少し「今日で最後だ。頑張ろう!」と思いプレイしたかもね。実際この日以降、日本はワールドツアーのスケジュールから外されているでしょ?

〈メガネ〉

でも、総評としては凄くいい!私の聴きたかったボスはこれ!って断言できる!特に初日は!……だけど、疑問も浮かんでくるんですよね。なんでこのノリをオリジナルアルバムにパッケージしないの?

俺としてはこのLiveツアーもそうだし、ライブ映像の音もそうだったけど、絶対Liveの方がいいと思うんだけど……ボスはどう考えてるんだろう……

まあ、こうやって考察できるのもブート音源の面白さですな。

{編集長}
結構真面目な人だと思うし、色々出来る分、スタジオで作り込んでしまうんだろうな。初期の作品はLive感があって俺は今でも大好きだよ!特に最初の2枚は素晴らしいゼ!もちろん「明日なき暴走」は若い時に聴かないと人生損をする…そんなアルバムだと思うぜ。

〈メガネ〉

そう言えばあなた、中1でエレキ弾いてました?

{編集長}

いや!アコだね。ヤマハのゴミ捨て場からゲットしたFG250!ただでさえ弦高が高いのに、ネック反り返っていてね…(笑) それこそ血を流しながら練習したもんだよ。

〈メガネ〉

練習?何を練習したんです?

{編集長}

ジェフベックの「ハイホーシルバーラーニング」!しかもギターソロのみ!

〈メガネ〉

……。

{編集長}

何で黙っちゃうのさ。君もクラプトン練習してたクセに!モテるだろ?ベック弾けたら!ジェフベックだぞ!

〈メガネ〉

モテるも何もジェフベック知ってても、その曲プレイして知ってた人います?

{編集長}

うっ…。そう言や今まで会ったこと無いな…

〈メガネ〉

…。というわけで。次回もよろしくお願いします。

{編集長}

何だ?この重苦しい終わり方は…。

〈メガネ〉

読者様、ぜひ次回もお楽しみに!

{編集長}

ここぞとばかり仕切るなぁ…。

〈メガネ〉

私の連載「ヴァイナル中毒」もよろしく!

{編集長}

……。

 
《メイン写真》
左: ハウリンメガネ
右: 編集長Mash
 


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