霊障(霊のさわりで起こる病気)を薬物から考える
先ず漢方薬を構成している、薬草や鉱物や骨などを解説したのは、今でも漢方薬のバイブルとなっている神農が書かれた神農本草経であります。つまり農耕と医薬の神様である神農が書いた経典と言う事であり、4,000年~5,000年前に書かれた知識が現代でも漢方理論の基礎になっており、誰も否定は出来ないのであります。ゆえに神なのです。
その神が書かれた本草経の中に、数種類の霊障を取り除く、もしくは、払い去る薬物が書かれています。ので、それから霊障とは、どのようなものであり、どのように発生するかを考察したいと思います。
なんといっても麝香がいの一番に出てきますし、次に牛黄であり、熊胆や蟾酥、犀角、羚羊角になります。サルの黒焼きや虎などは神農本草経には書かれてはいませんが、他の漢方家が書かれた書物に出てきますので、これらが霊障を取り去る薬物と思って差し支えないでしょう。
麝香(じゃこう)・・・p153
ジャコウジカの雄の麝香嚢にある線から出る分泌物である。麝香の味は辛で、気は温である。
効能
主として、人を傷害する悪氣の働きから避けらせ、鬼すなわち死人や、精物すなわち物の穢(けがれ)の祟(たた)りを殺(け)してなくしてしまう作用がある。また、はじめに発熱して、しばらくしてから悪寒を発する、一種のマラリアようの温瘧(おんぎゃく)の病や虫を用いたまじないの蟲毒(コドク)の病や、急に卒倒して痙攣をおこす癇痙(カンケイ)の病を治すことが出来る。さらに回虫・赤虫・蟯虫の三虫を除き去るはたらきもある。
これを久しく服用していると、人に悪い影響を及ぼす邪気を取り除き、その為、夢窹(ムゴ)・エンビ(字が出ない)しない、つまり、良く夢を見て飛び起きたり、あるいは、寝ていて悪夢にうなされるといった事がなくなる。
医療としての応用は、熱性病に伴う痙攣、失心、心臓衰弱などに、鎮痙、興奮、強心作用を期待して用いられる。蟾酥(センソ)牛黄、などと配合して、五疳強心剤の原料とする。
牛黄(ゴオウ)p153・p299
牛の胆嚢中にある結石である。味は苦で、気は平である。・・・心臓を益し、体温は上げも下げもしない。
主として、急に何物かに驚いて引っくり返る驚癇(キョウカン)の病や、悪寒と発熱をともなう寒熱病や、発熱が異常に盛んな時や、その為に精神障害を起こして、狂ったようになったり痙攣を起こしたりする病を治すことが出来る。
また、人に悪い影響を与える邪気を取り除き、死人のたたりの鬼氣(きき)を逐い払う作用がある。
余談になりますが、牛の胆石である牛黄は夜になると光るそうで、それに興味をもち研究したそうです。これらの現象も神が人間に気づかせる為と推察します。今でも山奥に住む原住民には光が見えるそうです。都会で暮らす人の目には見えないので、科学検査機を使って調べているようです。
羚羊角(れいようかく)はウシ科の哺乳動物サイガ「(オオハナレイヨウ)の角である。味はで、気は寒である。・・・・腎臓を益し、熱を去る作用がる。
主として、目を明らかに見えるようにし、元気を益し、陰すなわち生殖能力を奮起し、血の流れの滞りによって生じた悪血や、それが出血する注下の症状を除いて去り、虫を用いたまじないのコの毒氣や、人に悪い働きをする毒氣及び悪氣や、死人のたたりの鬼氣や、その他の不祥不吉な毒氣を避けさせる作用がある。
また、心臓のかたらきや気持ちを安定させ、さらに、これを常に服用していると、エンビ、すなわち、寝ていて悪夢にうなされるといった事が無くなってくる。似たものにコ羊角がある。
犀角(サイカク)インドサイ・スマトラサイ・ジャワサイ・クロサイ・シロサイの角でクロサイが最高級品である。味は苦で、氣は寒・・・・心臓を益し、熱を去る。
主として、百毒すなわち全ての毒氣や、特に虫を用いたまじないのコ毒の毒氣や、邪悪な氣が人の体に入り込んで悪寒、発熱したり、胸や腹が急に痛んだり、精神錯乱を起こしたりして、だんだん病が重くなるとついに死亡し、一人が死ぬと次々に伝染して、一門の大半が死滅するシュ病の毒氣や、人に悪い影響を与える邪気や死人のたたりの鬼氣や山や川から自然に発する毒氣の瘴気(しょうき)に当てられて生じた病を治すことが出来る。
また、フジウツギ科の毒草である鉤吻(コウフン)の毒や、雲南省に住むといわれる鴆(ちん)の羽の毒や、蛇の毒を殺し、人に悪い影響を与える邪気を除いて、何事にも迷わず惑わされない健全な精神状態にし、その結果エンビすなわち「、寝ていて悪魔にうなされるといった事もなくなる。これを久しく服用していると、だんだんと身の動きが軽くなってくる。
蟾酥(センソ)・熊胆はこれらより新しい時代に書かれていますので、今回は省きます。