NO８４４・・・中国思想と命

　命と言う文字は、「口」と「令」からなりますが、この口は誰の口かというと、周易・説卦伝に「神なるものは万物に妙にして言を為すものなり」とあり、造物者とも神と呼ばれる存在という事になります。

　皇帝内経・霊枢には、人の始まりについて「血氣己に和し、営衛己に通じ、五臓己に成る。神氣心に宿し、魂魄畢（ことごと）く具わりて乃ち人と成るなり」とあり、また、「百歳、五臓皆虚し、神氣皆去り、形骸独り居して終わるなり」とあるように、中国哲学的には人の一生は神とのつながりの中で存在すると考えられています。

　ただし、「天寿」を全うするためには、自然と調和した生活を営む事が必須である事が、皇帝内経・素問に記されています。

　また、「天寿」を全うする為の養生に関しては、飲食とそれを受け入れる「脾胃」を損なわないようにすることが基本とし、中年以降は補腎、すなわち精を充実させることで「氣」が充実し、その事で「神」とのつながりが維持されるとされています。

　更に、高熱や痰濁によって「神」とのつながりが途切れそうなときには開竅薬と呼ばれるものを用いて「神」とのつながりを維持することができるとされています。

補足
開竅薬とは：九つの穴（両目・両鼻・口・両耳・肛門・性器）を開き邪気を外に出す作用がある薬：代表な薬物に牛黄・麝香があります。