寒い季節の阿蘇烏帽子岳で、出会った若い女性は、はっちゃけていた。
友もなく、一人で山頂に立った彼女は、高く響く明るい声で
「写真撮ってくださーい!」
カメラを向けると、にっこりピース。
さらに、くるりと後ろ向きになって、バンザーイと思い切り両手を空へ。
なんとも元気よく気持ちのいいお嬢さんだ。
「Facebookに載せるんでー」
と、また高らかに笑う。つられてこちらも気分が高揚してきた。
山での出会いは楽しい。少しの会話で、気分もほぐれ笑顔になってくる。
このお嬢さんは、関西からの仕事帰りに一日だけ体が空いたので、烏帽子岳なら登れると思って、やって来たのだそうだ。
ほう!なるほど!山が好きなんだなー!
一人でサッサと山に登って、眺めを楽しむ。
写真を撮ったり、雪と遊んだりー。
いいなあー。
山姥の私にもできるかな。
一人で山に登れるかな。
あー、だから、ダメなんだ!
疑問型だからダメなんだ!
登れるかな?ではなく、私だって、一人で山に登ってやるぞ!
そうこなくちゃ!
若くなくったって、山姥だって、きっとやればできる。できるはずだー!
では、どこへ?
どこの山なら一人で登れる?
まずアクセスの問題。いつも夫殿の車に乗せてもらって、居眠りなんぞもして、どの道がどこへ繋がるのか知りもしない。
のんきにお任せで、登山口駐車場まで連れてきてもらい、家まで連れて帰ってもらっているのだ。
山姥お一人さまだと、そうはいかない。
まず、車の運転が駄目。山登りの前に車で遭難すること、間違いなし!
ならば、公共の交通機関利用となる。
うーむ
どこにある?
駅または、バス停から登山口までが、そう遠くない山。
そんな都合のいい山がどこにある?
ついでに楽に登れる山でないと、気分からして遭難すること間違いなし。
うーむ
山姥お一人さまの山!
うーむ
あったぞ!
ここならきっと登れるぞ!
添田町の岩石山!
この山は、前に登ったとき、5人に追い抜かれたのだが、その5人共、女性の単独行だったのだ!
しかも、私山姥と同年代か年上の人たちのようだった。
気軽にスタスタ登る人、バッチリメイクのお洒落さん、などなど。
おうっ!これはいいかも。
JR添田駅から、登山口までは徒歩15分!
これなら登れるぞ!
いつか、必ず「山姥お一人さま紀行」を実行しよう!
「夫殿、一人でゆくぞ。さらばじゃ。」
と言って朗らかにでかけよう!
はっちゃけ山姥の誕生である!