山に登りたい 

あの山にも、この山にも、もっともっと登りたい!

天山からヒマラヤへ

2013-09-09 09:25:30 | 山で出会った人
2013年9月9日(月) 妄想の日

佐賀の天山に登ったのは夏の初め。鳥たちがにぎやかに迎えてくれた朝だ。

その日、一人の老人と出会った。
気負うでもなく、ゆるやかに、さらりとした、その人の歩き方は、
山登りというより、地面すれすれのところを浮いて滑っているようなのだ。
足音もしなければ、足跡も残さない。
そんな歩き方なのだ。

82歳で天山は146回目だという。
山には不釣り合いな端正な顔立ちで、「山頂でのビールがうまい」と、微笑む。

天山!
天に向かう山。
そんな山がほかにもある。

天にそびえるのはヒマラヤの山々。

これだ!
ヒマラヤだ!
ここはヒマラヤだ!


恐る恐る聞いてみる。

あのー、若いころはいろいろ登られたと聞きましたが、もしかしてエベレストにも?

いやいや、ヒマラヤの山には何度も挑戦したが、敗退ばかりじゃった。
世界最高峰のエベレストには、わしの弟子が日本人で初めて登頂したんだよ。
植村直己君だ。知ってるかい?

はい、もちろんです。彼の著書はすべて読みました。
憧れなんです。直己ちゃんは山の恋人です。
植村直己があなたのお弟子さんだったのですか?

そうなんだ。彼はなかなかいい奴だった。
登山家としても、一人の男としてもね。
マッキンリーからまだ帰ったこんのだよ。

ええ、ええ!いつか、植村直己記念館を訪れたいと思っているんです。

そうか・・・。
ところで、あんたは加藤文太郎は知っておるかね?

はいっ!彼こそ私が山登りを始めたきっかけと言ってもいいほどなんです。
新田次郎の「孤高の人」も読みましたし、彼自身の「単独行」もAmazonで手に入れて読みました。

アマゾン?
なんじゃね、それは?
わしはジャングルの話をしておるんじゃない、ヒマラヤの話じゃ!

あ、
は、それは・・・
はい、はい。もちろんヒマラヤの話でした。
すみません・・・

そうじゃ、
あの加藤文太郎こそ、わしの山登りの師匠なんじゃ。

ひえーっ!
あの文太郎をご存じなのですね。
しかも山登りの手ほどきを受けた・・・
そ、それは・・・

そうなんじゃ、
文太郎先生は、地下足袋一つでも山に登れること、納豆と干し魚さえあれば何日でも縦走できることを教えてくださったのじゃ。
そうした強い心を自ら示して、幼い儂の前をすたすた山に登って行った。
まるで、地面すれすれのところを滑るようにな。
わしは何度もその歩き方を練習したもんだ。
この年になって、やっと体得したように思うんじゃが。

はい、はい。
それはもう。先ほどから負担のない素晴らしい歩き方をされていると、感心しておりました。

そうか、あんたもまだ若い。
これから修行を積めば、竹内洋岳にも、メスナーにだって会えるぞ。

はー、
私は実は山野井妙子さんに会いたいんです。
あの方の笑顔ってたまらないですよね~~
沢木耕太郎の「凍」を読んで知ったんです。
彼女の~~

もういい、もういい。
あんたはどこまでしゃべるつもりじゃ。
わしは、もう一人でビールを飲みたくなった。

まあ、それはすみませんでした。
山でのビールは、最高なんですよね。


今日のソーメンはおいしかったね。
山でソーメン食べられるなんて、最高だね!

ん?
夫殿の声。

私、寝てた?







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