いよいよ、南シナ海で中国軍が米軍機に警告【歴史の現在地・国際政治編】
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いよいよ、南シナ海で中国軍が米軍機に警告【歴史の現在地・国際政治編】
(1)いよいよ、南シナ海で中国軍が米軍機に警告
中国が領有権を主張するパラセル諸島の永興島。滑走路やホテル、役所などを建て、6月には小学校の建設も発表した。(写真はGoogle Mapより)
中国は人口島をつくり領海権を主張
中国は今、南シナ海のファイアリー・クロス礁やミスチーフ礁などを砂で埋め、人工島に変えようとしています。そこに飛行場などを作っており、軍事基地を建設しているのではないかとの憶測が流れています。
これらの人工島は、フィリピンやベトナムの領海内や、国際海域の中にあるにも関わらず、中国はそれらを自らの領土・領海と言い張り、島を作ることで既成事実をつくりあげようとしているのです。
「我々は中国海軍である。立ち去れ」
米軍がこのほど、この海域が中国の領土・領海ではないことを示すため、これらの人工島の上空を、偵察用の哨戒機で飛行しました。
哨戒機が人工島に近づいたところ、米中の間で驚くべきやり取りがあったことを、乗り合わせた米CNNのレポーターが録音しました。
録音によると、中国から哨戒機に対して、「外国の軍事機に告ぐ。我々は中国海軍である。あなたは我々の軍事警戒区域に近づいている。直ちに立ち去れ」と言い放ったのです。
米軍はその勧告に対して、哨戒機が国際空域を飛行中であると返信したところ、中国側はさらに、「我々は中国海軍である。立ち去れ」と言ってきました。
南シナ海が支配されれば貿易・石油が止まる
南シナ海を支配しようとする中国側の行動は年々エスカレートしています。これに対してアメリカでは、「より強固な対抗策を打つべきだ」という認識が広まっており、哨戒機以外にも、軍艦を人工島の近くに派遣すべきとの考えもあります。
この海域は、世界の貿易量の5割と原油の8割が通り、戦略的に非常に重要です。日本にとっては、使用する石油のほとんどが通る生命線と言えます。
日米の共通認識は、「この海域は誰のものでもなく、自由な航行ができることが世界にとって望ましい」というものです。しかし中国側は、「アジアの覇権を握る」という利己的な理由のために南シナ海を支配しようとしているのです。
南シナ海問題は、次第に「冷戦」のような側面を見せつつあります。地域の国々は中国と経済的な関係を築くことと、アメリカに安全保障面で頼ることの間で揺れています。しかし、このまま南シナ海問題が悪化し続ければ、彼らもいずれ選択を迫られるでしょう。日本は、経済成長を目指し、国防力を強化することで、東南アジアの国々に正しい選択を促す必要があります。
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2014年8月号記事 日本はアジアの警察官たれ 東南アジアは「盟主」を求めている
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2015年5月13日本欄 米軍、南シナ海に軍用機と軍艦も検討 日本は東南アジア防衛の決意を
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(2)いよいよ北朝鮮が核ミサイル完成間近?
北朝鮮がこのほど、核弾頭の小型化に成功したことを発表したと、各紙が報じています。小型化は、核弾頭をミサイルに搭載するために必要な技術であり、完成すれば核ミサイルを日本やアメリカに向けて撃てるようになります。もし今回の発表が本当であれば、北朝鮮の脅威が一層増したことを意味します。
北朝鮮は各国の警告を無視し、核開発をしてきた
同国の核開発を止めるための国際的な努力は90年代から続いていますが、何らかの合意が見られるたびに、北朝鮮は約束を破り、核開発を続けてきました。
北朝鮮は、食糧不足などのために、外国の支援が必要なときだけ、核実験や弾道ミサイルの発射で他国の関心を集め、「支援があればそれらの行為をやめてもよい」などといった脅迫外交を行ってきました。しかし、支援を受けた後も核開発やミサイルの開発を続けてきたのです。
そのようなことを20年続けてきた結果、核交渉は現在停止状態にあり、欧米や日本は北朝鮮に対して経済制裁をかけています。
今回の発表が本当かどうかは分かりません。最近、北朝鮮は潜水艦発射型の弾道弾の実験に成功したと発表しましたが、専門家の間ではこの発表が嘘であり、公開したビデオも偽物であると考えられています。
しかし、もし発表が本当であれば、アメリカなどを狙える核弾道弾の開発に一歩近づいたことになります。
北朝鮮や中国の核ミサイルに対する防衛は、先進国にとって大きな課題の一つです。
日本は一層の核抑止力を高めよ
PAC3やSM3など、「ミサイルをミサイルで打ち落とす」防衛兵器の開発は進んでいます。しかし、相手が多弾頭ミサイルや軌道変更可能な弾道弾を使用した場合、防ぎきれない可能性があるのです。また、マイクロ波を使用してミサイル内部の電子機器を破壊したり、レーザーでミサイルを打ち落とすといった技術も、まだ弾道ミサイルを止められるほどではありません。
日本はその技術力を駆使して、核兵器などの無力化に向けて更なる努力を重ねるべきです。それは、日本の防衛だけでなく、国の防衛産業の発達にもつながります。
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