◆イスラム教徒が語る「イスラム・テロをなくす道」(上) イスラム国、アメリカの空爆
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9293
「フランス・パリのシャルリー・エブド紙襲撃事件」や「イスラム国による日本人人質事件」など、2015年に入り、イスラム過激派をめぐる問題が頻発し、イスラム教に注目が集まっている。幸福の科学の教えを学んだイスラム教徒は今、何を感じているのか。中東やアジア在住のイスラム教徒で、幸福の科学の教えを学ぶ人々に聞いた。3回シリーズの第1回目は、イスラム過激派をめぐる時事問題についての回答を紹介する。
【問】シャルリー・エブドの事件や、イスラム国による人質の殺害についてどう考えていますか?
・私は、シャルリー・エブド紙のやったことには全く賛成できませんし、同時に、彼らのやったことは、「言論の自由」という哲学には全く基づいていないとも確信しています。しかし、イスラム教の精神的な対象を汚した行い以上に、私は、「正義」の名のもとに、暴力や残忍な行為、殺人を行うことにも賛成できません。
宗教を広めるためとはいえ、残忍な行為をする人は、本当は宗教的ではないと思うのです。その中には、劣等感で苦しんでいる人や、心の不道徳で悩んでいる人、そして、宗教的に目覚めていないことの苦しみを紛らわすために他の人を傷つけている人もいると思います。(中東在住・男性)
・私はシャルリー・エブド紙のムハンマドの風刺画を見ました。何故、彼らが言論の自由を乱用しているのかと、本当に動揺しました。ただ、私は「彼らがやったことは紙の上だけの問題だ。これは、イスラム教徒であることの品位を貶めるものでもない」と考え、気に留めすぎないようにしました。
私がショックを受けたのは、報復行為に出た人がいたことです。信じられないことでした。私は、殺人を許しません。
イスラム国の兵士たちは、行き過ぎていると思います。預言者ムハンマドは、戦争を指揮しましたが、戦争捕虜を殺したことはありません。(アジア在住・男性)
【問】今、イスラム国を「悪魔」とみなして空爆を続けるアメリカの側には正義があると考えますか?
・私は、「イスラム国」は、地域に恐れや恐怖を広げていて、邪悪なものに向かっている集団だと考えています。「イスラム国」はある程度打ち砕かれる必要があると思います。しかし、アメリカが「イスラム国」を空爆する意図が、正義の実現や「悪と戦う」という考えに基づいているとは考えていません。純粋に正義にのみ基づいているとは思っていないのです。(中東在住・男性)
・社会的地位が低く、教育を受けていない人が、イスラム国のメンバーに志願しているようです。彼らはイスラム国について、何も知らないようですし、他の選択肢が無いに等しいのです。
イスラム国の人々に必要なのは爆弾ではなく、教育であり、啓蒙です。イスラム国の人々を空爆することは、長い目で見ると解決策ではありません。空爆という戦略が本当に効果的ならば、アメリカと国際社会は、アフガニスタンなどの別の国で、もっと成果を上げていたでしょう。(中東在住・男性)
・イスラム国は排除されるでしょうし、排除されるべきだと思います。しかし、アメリカの行動自体には、いつも疑問を感じます。彼らの「正義」に対しての考え方にはいつも疑問を抱いています。彼らがイスラム国を空爆することは、賞賛されてもいますが、世界のイスラム教徒には、一方的であると受け止められています。アメリカや同盟国が、あらゆるイスラムの国々や団体に対する爆撃を急ごうとしていると思われています。(アジア在住・男性)
【問】イスラム・テロをなくすためには何が必要だと思いますか。
・イスラム国が広がった根本的な原因のひとつに、イスラム教のシーア派とスンニ派の対立があると思います。スンニ派側にあるのは、大きな経済力を持つサウジアラビアであり、カタールであり、その他の力のあるアラブ系政権です。
一方、シーア派側にあるのは、過去三十年、アラブの大国とある種の冷戦状態にあったイランです。実際にイランは、アラブ諸国の利益にとってある種の脅威です。長い間、シリアではシーア派の運動が広がってきましたし、イラクでもサダム・フセインが倒れて以降、急速にシーア派運動が進んできたのです。
こうしたシーア派の広がりがアラブ諸国にとっては完全な脅威になっています。スンニ派のアラブ諸国がイランと戦うことになれば、彼らは利益を守ることができなくなるからです。彼らはシーア派に対抗するために、過激派で力のあるスンニ派兵士の運動を支援し始めました。それが、現在の「イスラム国」の広がりを後押ししている面もあります。
イスラム世界に必要なのは、本当の愛と忍耐の教えなのです。(中東在住・男性)
・テロに対して、テロで戦ってはなりません。可能な分野で経済的な援助を行うべきです。それができる国の一つが、日本です。日本は、2人の男性が殺されたからといって、報復に走ってはならないと思います。日本は中東のイスラム教徒、そして世界のイスラム教徒の良い友人になるべきだと考えています。(アジア在住・男性)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『ムハンマドよ、パリは燃えているか。』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1394
幸福の科学出版 『イスラム国“カリフ"バグダディ氏に直撃スピリチュアル・インタビュー』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1411
【関連記事】
2015年4月号記事 イスラム国の「正義」 - 日本は欧米と中東の仲裁者たれ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9237
2015年4月号記事 中東の憎しみの連鎖を断つには――国際政治にも「許し」を - 編集長コラム
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9236