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収まる気配のない中東紛争と激化するテロ、ギリシャの財政問題とEU危機、北朝鮮の核開発問題、そして中国の軍拡——。こうした世界を取り巻いている問題について、大川隆法・幸福の科学総裁の2千書目となる著作『正義の法』は、神仏の立場から見た「正しさ」を示しています。
本欄では、同書の第3章5節「『発展・繁栄の考え方』を日本から世界に」について読み解いていきます。
◎世界最大の海賊多発地帯だったソマリア沖
同節には、日本が世界に貢献していく道筋として、こうあります。
「魚を与えるよりは、『魚の釣り方』を教えるほうが正しいという考えを持っています。魚を与えても、持っている魚は必ず尽き、手持ちの魚はなくなります。しかし、『魚の釣り方』を教えたら、教えられた側は、一生、魚を釣ることができるのです」
これを今まさに実践している人がいます。大手寿司チェーン「すしざんまい」を展開する、喜代村の木村清社長です。木村社長は、アフリカ東部のソマリアに自ら赴き、現地の人たちに「魚の釣り方」を教えています。
驚くべきは、木村社長が教えている相手が一般人ではないということ。なんと「海賊」なのです。
国際海事局(IMB)の調査によると、木村社長がソマリアの海賊に関わり始めた2011年、ソマリア沖では発生した海賊事件は237件と世界最多。世界全体のおよそ半分を占めています。ソマリア沖は海賊多発地帯として有名"だった"のです。
◎木村社長「自分で稼いだ金で家族を養うという、誇りを持った人生にしなくちゃいかん」
木村社長はどういう思いで、あえて危険な海に行ったのでしょうか。
「伝手を頼ってソマリアの海賊たちに会いに行きました。そこでわかったことは、彼らだってなにも好き好んで海賊をやっているわけじゃないということです。
だったらこの海で、マグロを獲ればいいじゃないか。自分で稼いだ金で家族を養うという、誇りを持った人生にしなくちゃいかん——と、彼らと話し合ったんです」(1月18日付ハーバードビジネスオンライン)
利益第一主義ではなく、まずどうやったら喜んでもらえるか。木村社長は、こうした利他心から、彼らにマグロ漁の技術を教え、マグロ漁で生活できるようにしたといいます。また、木村社長は元自衛隊員。国の安全を守る正義感も、行動を後押ししているのかもしれません。
すると、面白い現象が起こり始めます。
2011年を境に、ソマリア沖の海賊被害が減り始め、2015年にはとうとうゼロになりました。この最大の理由は、自衛隊などによる監視活動の強化とされていますが、木村社長の無私なる貢献も無視できません。海賊を漁師にした功績が称えられ、木村社長は、ソマリアの隣国であるジブチ政府から勲章をもらっています。
◎日本は高い技術力で「ジョブ・クリエーション」を
木村社長が仕事を創り出したことで、海賊たちは自分の力で人生を切り開けるようになり、社会にも貢献できるようになりました。こうした自己努力型の人生こそ、「誇りを持てる」人生と言えます。木村社長の事例から、日本の海外支援のあり方の一つが見えてきます。
発展途上国で、貧困に苦しみ、犯罪に走る人が絶えない一つの原因は、仕事がないこと。日本は、高い技術力を通じて、付加価値の高い仕事を生み出すことで、途上国を支援できるでしょう。「ジョブ・クリエーション」こそ、今後の日本の使命です。(冨野勝寛)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『正義の法』 大川隆法著
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