●股関節の役割
股関節は体の中で最も大きな関節で、骨盤の骨と大腿[たい]骨(太ももの骨)で
構成されています。骨盤側には臼蓋[きゅうがい]と呼ばれるお椀状のくぼみが
あり、そこに球状をした大腿骨頭(大腿骨の先端部分)が収まっています。
骨と骨の接合面は関節軟骨で覆われ、滑らかな動きが可能になっています。
股関節は、重い体重を支えるという重要な役割も果たしています。
片側の股関節にかかる負担は、両脚で立っているときで体重の50~60%、
片脚で立つと体重の約3~4倍、さらに歩行時には体重の約10倍もかかることが
あります。
●変形性股関節症とは
変形性股関節症は、関節軟骨がすり減り関節が炎症を起こす病気で、股関節の
病気としては最も多く見られます。原因によって、加齢や肥満などによる負担が
積み重なって起こる一次性の場合と、原因となる異常がもともとあって起こる二
次性の場合に分けられます。日本では変形性股関節症の8割程度が二次性で、
その最大原因となっているのが臼蓋形成不全です。臼蓋が大腿 骨頭を十分に
覆っていないため、負担を受け止める面積が狭くなって関節軟骨がすり減りやすく
なり、加齢などに伴って変形性股関節症を発症しやすくなります。
●進行・診断
変形性股関節症は、進行の程度によって、前股関節症(関節軟骨は正常だが
臼蓋形成不全などが見られる)、初期(立ち上がるときなどに痛みを感じるように
なる)、進行期(歩いているときには常に痛むようになる)、末期(安静時や就寝中
などにも強い痛みが起こる)の4つの段階に分けられます。
診断では、まず問診や視診・触診が行われます。視診・触診では、あおむけに
なって股関節を動かしたときの痛みの現れ方を観察します。また、あぐらをかける
かどうかも調べます。さらに、大腿骨頭が皮膚から最も近い場所である股関節の
内側部分を押し、痛みがあれば股関節に異常があると考えられます。
異常が疑われるときは、エックス線撮影などの画像検査が行われます。
変形性股関節症の治療は、保存療法、薬物療法、手術の大きく3つに分けられ
ます。手術には、比較的早い段階で行われる骨切り術や、かなり進行してから
行われる人工関節置換術などがあり、目的や状況に応じて選択されます。
(2013年3月11日 きょうの健康)