連日の猛暑で、熱中症の患者が増えている。熱中症は、体温調節する発汗が
うまくできない高齢者と子供で特に注意が必要だ。また、熱中症だけでなく
暑さによるやけどや皮膚アレルギーの危険にも注意したい。
帝京大病院救命救急センター長の坂本哲也教授によると、心疾患や肺疾患、
脳卒中などの既往症がある人は健康な人より暑さに弱い。
「今年は疾病をもった高齢者が体調を崩して運ばれてくるケースが多い」と
話す。
熱中症で意識障害だけでなく脳や肝臓、腎臓など多臓器に障害が出る危険も
あるという。
せんぽ東京高輪病院の辻祐一郎小児科部長は「子供は体温調節をつかさどる
中枢の発達が未熟なので、大人より頻繁に水分や休憩を取ることが必要」と
話す。身長が低いため道路の照り返しで大人より温度の高い熱を浴びる。
辻部長は「ベビーカーなどはなるべく座席が高い風通しのよい素材のものを選ぶ
とよい」とアドバイスする。
高温の鉄やアスファルトに触れることによる事故もある。公園の滑り台や鉄棒、
チャイルドシートのバックルなど、子供が触れる金属は多い。
緑園こどもクリニック(横浜市)の山中龍宏院長は「日光を浴びて鉄は70度、
アスファルトは60度にもなる。子供は皮膚が薄く、転んでもすぐ立ち上がれず
長時間熱に触れてしまう」と指摘する。
また、降圧薬などの服用後に紫外線を浴びたり、一部の湿布や日焼け止め
などに日光が当たると皮膚がアレルギーを起こすこともある。
浜松医大の戸倉新樹(よしき)教授は「夏は薄着になるが、光にさらされる際
には注意が必要だ」と話している。
(2013年8月13日 サンケイ新聞)