永子の窓

趣味の世界

源氏物語を読んできて(1030)

2011年11月23日 | Weblog
2011. 11/23     1030

五十帖 【東屋(あづまや)の巻】 その(1)

薫(大将殿、右大将)      26歳 秋
女二の宮(姫宮、今帝の御子)
故大君(おおいぎみ、故八の宮の御長女)薫がいつまでも忘れられない人
匂宮(兵部卿の宮、宮)     27歳
中の君(宮の北の方。故八の宮の姫君)若君を産んでいる。 26歳
浮舟(御方、西の御方、若き人) 21歳
   宇治八の宮と中将の君の間に生まれた姫君
中将の君(母北の方、母君、浮舟の親)浮舟を連れ子として、常陸の介の後妻になる
常陸の介(守、守の殿)故先妻との間に、一男二女と中将の君との間に一女がいる。
夕霧(右大臣)    52歳
明石中宮(后の宮、大宮)

「筑波山を分け見まほしき御心はありながら、は山の繁りまであながちに思ひ入らむも、いと人聞き軽々しう、かたはらいたかるべき程なれば、おぼしはばかりて、御消息をだにえ伝へさせ給はず」
――筑波嶺に近く生いたった、あの中の君と腹違いの女君(浮舟)を、薫は、わが物にしたいとのお心持ちはおありになりますが、そんな端山の繁みの末のような(末々の身分の者)常陸の前司の継娘(ままむすめ)にまで、酔狂に懸想なさるのは、世間体も悪く、軽々しいことでもあろうし、気恥ずかしくも思われる相手ですので、自然遠々しくなさって、浮舟へのお便りさえお遣わしになりません――

「かの尼君の許よりぞ、母北の方に、のたまひしさまなど、たびたびほのめかしおこせけれど、まめやかに御心とまるべきこととも思はねば、たださまでもたづね知り給ふらむこと、とばかり、をかしう思ひて、人の御程のただ今、世にあり難げなるをも、数ならましかば、などぞ、よろづに思ひける」
――かの弁の尼君のもとから、浮舟の母へ、薫の御意向をたびたびほのめかしてみますが、先方ではどうも真面目な御執心とも受け取れず、ただ、それほどまでに浮舟をお尋ね知り下さることよ、と、それだけが身に沁みて、薫の御身分が今の世に稀なほど、高い方であると伺うにつけても、もし当方の身分が相応であったならと、母君はあれこれと考えるのでした――