はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

えっち(1)

2009年02月18日 19時43分27秒 | たんたか雑記
 先日。珍しくも、とある若者向け小説を読んでいたら、こんな台詞が目に飛び込んできた。

「先輩、あの…わ、私たち、えっちしたんですよね!!!?」

 ………えー。
 ちなみに年齢制限小説でも何でもないんですが。
 まあ、ヒロインの言っていることに間違いはない。
 この子とその恋人は、前夜初めて結ばれたわけで。
 翌日、他の女性と話す主人公にこう言い放っても、嘘はついてません。
 ついてないんだけど、無口であまり笑わない、でも笑うととてもかわいいという典型的妹的ヒロインからこーゆー発言が出ると、思わず絶句してしまうというか、世代の差を感じるというか。

 その時は「俺も歳をとったなあ」なんて感慨を抱いてしまっただけだが、後から思い返してみると、この台詞につまづいたのは、発言の過激さだけではなかったような。
 つまり、「えっち」という単語の使い方について。

 もちろん、若者の言う「えっち」が「=SEX、またはそれに類すること」であることくらいは知っている。
 いつの間にそんな意味になったのかは、最近とんと若いモンと触れあっておらんので(ごほごほ)、定かではないが。
 思い起こせば(と遠い目をする)僕らの世代で「えっち」と言えば、「スケベ」の少し柔らかいニュアンス、といった感じで使っていた。
 そもそも、ひらがなで「えっち」ではなかったな。「エッチ」もしくは「H」。
 言葉にするときでも、カタカナやアルファベットを思い浮かべていた。
 いや、男で「エッチ」なんて言う奴はいなかったか。
 女の子が、ちょっとした性的話題なんかのときに
「やぁねえ、エッチ」
なんて言うことはよくあったが、男がこんな言葉使ったら、間違いなく全員が引いていただろう。
 つまり、この言葉は女性限定(男なら「スケベ」もしくは「やらしい」)という暗黙の了解があったように思う。

 今はどうなんだろう。
 本やTVで見る限り、この言葉を使うのはやはり女性が多い気がする。
 思春期まっただ中の少年が
「いやー、オレ昨日カノジョとえっちしちゃってさあ」
なんて言う場面は、とても想像が……
 つくな。あっさりと。
 うーむ。

 なにも僕は
「最近ますます日本語が乱れてきてけしからん」
なんて言いたいわけではないですよ。
 「SEX」などと直球ど真ん中な異国語よりも円みがあって、ニュアンスもすんなり通る。
 さすがに公文書に出てきたら頭を抱えるだろうが、会話の中で使う分には便利な言葉じゃないだろうか。
 自分から使おうとは思わないけど。

 ここまで考えてきて、そもそも「えっち」の語源とはなんだろうか、と思い当たった。
 アルファベットの「H」から来ているのは推測できるが、何かの頭文字なんだろうか。

 【エッチ】
二,(名・形動)〔「変態」のローマ字書きhentaiの頭文字から〕性的にいやらしいさま。また、そういう人。「-な人ね」
(大辞林)

 納得。
 ちなみに「SEX」の意味では載っていなかった。辞典的にはまだスラングなのか。
 しかし、僕たちの世代でも「エッチ」と「変態」とでは明らかに意味が違う。
 言葉は、生まれたときから自分の道を歩き始める。その一例だろう。

 (つづく)

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